2020年のバスケ日本代表が始動、安藤周人が語る意識の変化「選ばれただけですごいとは思わない」

2020年のバスケ日本代表が始動、安藤周人が語る意識の変化「選ばれただけですごいとは思わない」

2020/02/20

安藤周人

オリンピックイヤーの2020年、バスケットボール男子日本代表が始動した。今年最初の国際大会は2021年のアジアカップに向けた予選。ホームの中国戦は延期となったが、アウェーのチャイニーズタイペイ戦に向けて代表選手たちは再集結。昨年のワールドカップでは5戦全敗を喫し、世界とのレベル差を痛感させられた。手痛い敗戦から何を学び、次のレベルアップへと繋げるのか。シューターだけではないオールラウンドな能力を伸ばす安藤周人に話を聞いた。

「ズタボロにされたことで、危機感を持って」

──昨年のワールドカップでは大きな注目を集めましたが、結果は5戦5敗でした。あの時点ではできる限りの準備をして大会に臨んだはずで、あのような形で終わるとは思っていなかったのでは?

思っていませんでしたね。今思うと、ワールドカップ前にいろいろな国際親善試合をして、ドイツに勝って、アルゼンチンを相手に競った試合をしてしまったことが変な自信になっちゃったのかなと思います。過信したまま大会に行き、どこかで「勝てるんじゃないか」と思いながらプレーした部分はあったかもしれないです。そういう過信があったから、ああいう結果になってしまったのかなと思います。

でも今はもう、そういった過信は僕を含め全員ないです。あれで経験しましたからね。ただ、今はあの結果になって良かったのかなとも思いますね。オリンピック前にああやってズタボロにされたことで、今は危機感を持ってプレーできています。オリンピックでは僕も含め、みんなが同じ結果にならないようにやるはずです。

──ワールドカップの時は八村塁選手がいて、周囲からは『八村頼み』という見方もあったと思います。

それは僕たちにもありました。やっぱり彼はすごいですし、彼に任せれば得点を決めてくれます。ただワールドカップのトルコ戦で常に彼はダブルチームで守られました。

彼はまだ若いのにNBA選手だからって、「彼に任せれば得点を取ってくれるだろう」というみんなの過信や期待が大きすぎた部分があります。それに常に世間から注目されて、練習後には毎日インタビューを受けて、オフの日まで取材があって。せっかく日本に帰ってきてもオフがなくて心身ともに疲れている中で、日本のために引っ張ってくれていました。

僕たちは彼の負担を減らさないといけないのに、全部彼に任せてしまった。自分が決める気持ちでやらないといけないのに彼に任せてしまい、他の国からは「塁を止めれば日本は終わる」と見られていたと思います。そこは僕たちも、いちファンとして塁に期待しすぎていた部分は正直ありました。

安藤周人

「普段の試合からバシバシ当たっていく」

──ワールドカップ後には、どの選手も「国内のリーグ戦から世界を意識して、変わっていかなければいけない」と話していました。実際に今シーズンが始まって、安藤選手がプレーの面で何か変えたところはありますか?

ディフェンスは変えました。よりアグレッシブにやらないと世界とは戦えないことが分かりましたから。世界最高峰のNBAプレーヤーが僕たち以上のアグレッシブさを出してプレーをしていたので、そこを見習わないといけない。彼らがやるんだったら僕らも当たり前のようにやらないといけない。それはワールドカップを終えて一番感じたことですね。今は、自分のディフェンスのインテンシティを上げることに重点を置くようにしています。

そのためには普段の試合からバシバシ当たっていくことが大切です。ヨーロッパの選手は40分間バチバチ当たりながらプレーしていました。日本も誰が出てもインテンシティを同じ強度で保てるようにしないと。

試合開始と同時に100%の力でディフェンスをやってボールを持たせないとか、プレッシャーを常にかけるとか。そういうことを続けていくことが大事だと思っています。リーグ戦でマッチアップする相手はほとんどが日本人なので、日本人を止めたからといって満足するわけでもありません。これからアジアカップ予選が始まりますけど、ワールドカップが終わって5カ月ほど経って、自分がどれだけ成長したかを証明する場だと思っています。

──オフェンス面ではどうですか? 安藤選手の3ポイントシュートへの期待は変わらずあると思います。

今はリーグ戦でも相手のプレッシャーが強くなって、タフショットを打つことも増えてきて『決めきる力』が大事になっています。ただ、今はまだその1本を決めきる力が身についていません。練習はもちろん大事ですけど、そういう場面で『自分が決める』という気持ちがやっぱり大切になってきますよね。他人に任せるのではなくて、自分がやるという気持ち。

代表で言うと、(富樫)勇樹さんが所属チームでもブザービーターを決めたりするシーンをよく見ます。インタビューで「自分が決める気持ちでやらないとダメ」と言っていて、なるほどと思いました。今はそういう気持ちを前面に出してプレーしたいと思っています。

安藤周人

代表活動は「今でもキリキリするし、緊張します(笑)」

──今回のアジアカップ予選は国内組で挑むことになります。どんなことを意識して試合に挑みますか?

今は比江島(慎)さんと(田中)大貴さんが引っ張ってくれています。僕は2人のサポートができるような選手にならないといけないし、10分でも彼らの身体が休まればいいなと思っています。自分が全部出てやるという気持ちではなくて、サポートできるように、チームに流れを持っていけるような選手になりたいです。所属チームではスタートで出ていて支えてもらっている立場なので、ここでは逆に僕が支えられるようになりたいですね。

──ワールドカップの準備期間だった昨年の夏には、まだ日本代表でも新顔といった感じがあって、「緊張して胃がキリキリする」と話していました。こちらは『日本代表の安藤周人』に随分慣れましたが、ご自身の感覚はいかがですか?

今でもキリキリするし、緊張します(笑)。日本のトッププレーヤーの中でやることには、まだ慣れないですね。自分がその一員だという感覚は全然ないです。僕はまだ下っ端ですし、やらないといけない気持ちは分かりますけど、まだ引いちゃう部分があるんです。選ばれた時も実感がなかったですし、本当にワールドカップの時に日本代表のメンバーの中にいたのかな? ってたまに思います。慣れるにはまだ時間がかかりそうです(笑)。

それでも今の目標はオリンピックの代表に選ばれることなので、ワールドカップに出たからといって満足してはいません。周りからは「すごいね」と言われますけど、逆に「何がすごいんだ?」と僕は思うんです。僕はそんなに試合にも出ていないし、選ばれただけですごいと言われてもうれしくはなくって。先発を勝ち取って「すごい」と言われたいし、自分の中でまだまだ日本代表に対する価値観とか、求めているものが具体化できていない部分があるので、目標にはまだまだたどり着いていないです。

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