チームをまとめられる真のリーダー
昨年の夏にロケッツからサンダーにトレードされたクリス・ポールは、去就が不透明な状態でシーズン開幕を迎えた。
サンダーはポール・ジョージをクリッパーズにトレードし、ラッセル・ウェストブルックとポールを交換する形でチーム解体を決断。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーら若手を中心に、数年後を見据えたチーム作りを推し進めると思われた。シーズン開幕前の予想では今シーズンのプレーオフ進出は厳しいと言われたが、競争が激化する西カンファレンスにおいて6位に躍進している。
この要因の一つにはポールが若手を引っ張り、チームをまとめていることが挙げられる。今年の5月に35歳になる年齢を考えれば、キャリア終盤に優勝を求めて強豪への移籍を希望してもおかしくない。だがポールは、球団にトレードを要求しなかった。むしろ、サンダーでのプレーを楽しんでいるようにさえ見える。
若手のメンターとしてチームを引っ張る役割を自ら進んでこなすベテランは、近年少なくなった。2月11日にサンダーと対戦したスパーズのヘッドコーチ、グレッグ・ポポビッチもポールを稀な存在として称えている。
「若手のメンターを好む選手は周りが考えるよりも少ない。彼のような存在はいたとしてもチームに1人か2人で、1人もいないチームもある。それだけ彼は特別な存在なんだ」
ポールは、スパーズ戦でシーズンハイの31得点に加えて7アシストを記録。サンダーでの今シーズンは、あらめて司令塔としての実力がクローズアップされることも多く、先日発表された東京オリンピックに向けたアメリカ代表の最終候補にも入った。
ポポビッチが認める『いぶし銀』がサンダーをプレーオフに導き、そして東京オリンピックでアメリカ代表に金メダルをもたらすことになるのか。円熟期を迎えた稀代のプレーメーカーのパフォーマンスから、ますます目が離せなくなりそうだ。
Chris Paul hustles to secure the rebound and dishes a nice pass in transition for your Heads Up Play of the Day! pic.twitter.com/oDgIUo0TtK
— NBA TV (@NBATV) February 12, 2020