文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

ディフェンスを立て直して連敗ストップに成功

今シーズンの名古屋ダイヤモンドドルフィンズは強力外国籍トリオを軸に、笹山貴哉、中東泰斗、張本天傑と日本人選手にも2桁得点が期待できるタレントを擁するものの、ディフェンスを構築できず。前節まで13試合を終えて、得点はシーホース三河に次ぐ平均83.3とリーグ2位だが、失点は87.3とリーグワースト。4勝9敗と負け越しており、ここ2節は三河と川崎ブレイブサンダースと強豪相手に4連敗を喫していた。

その名古屋Dが三遠ネオフェニックスをホームに迎え、チームの強みである外国籍トリオではなく、日本人選手の奮闘がディフェンスを立て直し、終始リードする展開で完勝を収めた。

前半は名古屋Dが先行するも、三遠も粘り強く追いかけて34-29とロースコアの展開に。それでも第3クォーターに名古屋Dが走った。ジャスティン・バーレル、張本、船生誠也、中東、笹山の先発5人がほぼフル出場。張本はこの10分間で3本のシュートと2本のフリースローすべてを決めて9得点と気を吐いた。こうして58-43とリードして最終クォーターを迎えると、今度はセカンドユニットが奮起する。藤永佳昭、安藤周人がこの重要な10分間を任される起用に応えた。

試合を通じて華麗な技術よりも、ボールへの執着心を前面に押し出す泥臭いプレーが目立った。太田敦也を擁しインサイドに強みを持つ三遠に対して外国籍選手任せになることなく、船生が、藤永が、中東が飛び込んで次々とオフェンスリバウンドを奪っていく。そのたびに名古屋Dは勢い付き、三遠は追い上げムードを断ち切られた。

攻守にハッスル連発、勝機を呼び込んだ藤永

この試合で名古屋Dが見せたアグレッシブなプレーの象徴が藤永だ。前半終了間際には211cmのスコット・モリソンと『38cm差』のリバウンド争いで押し負けずにファウルをもぎ取り、鋭い出足のスティールからそのまま速攻に持ち込んだり、前からの激しいプレスで8秒オーバータイムを誘うなど、藤永のハッスルが三遠から積極性を奪っていった。

第4クォーター開始から2分が過ぎたところで、相手の3ポイントシュートのリバウンドを拾った藤永が、走り出していた安藤を見逃さずロングパスを送って64-45。三遠はたまらずタイムアウトを取ったが、流れは変えられない。チーム一丸でハッスルする名古屋Dの勢いは最後まで落ちることなく、85-57で圧勝した。

三遠はモリソンがゴール下で孤軍奮闘したものの、名古屋Dのしつこいディフェンスの前に出場2分の大口真洋、5分の比留木謙司を除く9選手がターンオーバーを記録し、その総数は17。名古屋Dのターンオーバーはわずか6と大きな差が付いた。川嶋勇人と岡田慎吾が欠場、故障者リストに入ったロバード・ドジャーに代わる新戦力のローレンス・ブラックレッジはこれが加入3試合目で、まだ周囲とフィットしておらず『試運転』。このチーム状況で名古屋Dにこれだけ気迫のこもったパフォーマンスをされては苦しい。

今シーズン最高とも呼ぶべきパフォーマンスを見せた名古屋Dだが、残念なのは集客だ。今シーズン開幕戦には4529人を集めた愛知県体育館には1208人しか観客が入らず、スタンドは閑散とした雰囲気に。試合後のヒーローインタビューでマイクを握った藤永が「面白いと思った人はいろんな人を連れて来てください。もうちょっとたくさんの人の前で試合がしたいです」と思わず言ってしまうほど。コート上で選手たちが見せた気持ちのこもったプレーは一見の価値があった。それだけに1208人という数字は残念だ。