文・写真=鈴木栄一

「他の人には真似できない強みをアピールしたい」

11月24日にスタートするワールドカップアジア1次予選のフィリピン戦が間近に迫る中、試合に向けたチーム作りが進められるとともに、12名の代表選手を巡るサバイバルレースも熱気を帯びている。

その状況で、代表の常連となりつつあるのが22歳の馬場雄大だ。代表合宿はリーグ戦の合間の実施ながら強度の高い練習を行っており、心身ともに非常にタフな内容となっている。特に馬場は、筑波大在学中にプロへと転向し、今オフにアルバルク東京に加入したばかり。プロバスケットボール選手として初めてのシーズンを送っている中で、この過密日程をしっかりこなせているところに彼の非凡さを感じずにはいられない。

フリオ・ラマスヘッドコーチの目指すバスケットボールの特徴について、馬場は「一人ひとり違う役割を求めていて、それを最後に合わせようとしているのは感じます」と言う。そして、自身が求められている役割を「リングにアタックして、味方のノーマークを作ったり、フィッシュまで持っていったりする。ペイントタッチはラマスヘッドコーチのバスケをする上で重要で、自分の主な仕事はそういった部分だと思います」と見ている。

馬場は、ラマス体制で初の国際大会となった今夏のアジアカップに出場している。しかし「アジアカップには選ばれましたけど、その時の12名でそのまま今回もいくとは思っていません。新しい選手も呼ばれるなど、競争は激しくなっています。今、合宿にいる選手には、それぞれラマスが認めたものがあります」と、自分にアドバンテージがあるとは考えていない。

だからこそ、12名に残るためには、次のようなポイントが大事になる。「瞬発力、身体能力といった部分は、他の人には真似できない強みだと思うのでアピールしていきたい。ただそれだけだと行き詰まると思うので、状況判断などをより磨いていき、代表でも見せていきたいです」

「自分のやれることを100%コートで体現する」

アジアカップに出場した当時と比較すると、大学からBリーグとレベルが上の舞台でプレーしていることが、馬場の成長につながっているのは間違いない。また、それはスキルの面だけでなく、メンタル面についても同様だ。

「学生の時は、先輩方はみんなプロ選手で、学生とプロの違いで気後れしている部分はありましたが、今は同じプロとして肩を並べてやらせてもらっています。前はまずパスを出すところを探していたのが、今は自分でアタックできるところを第一に探すようになりました。プロはより結果が大切です。学生の時は数字も別に気にしませんでしたが、バスケットボールと職業とすることで、いかにインパクトを残せるかなど、考え方も変わりました」

このように、馬場はプロバスケットボール選手になったことによる気持ちの変化を語る。また、現在、22歳であるが、「環境の違いはありますが、海外なら19歳でフル代表で結果を残すような選手は普通にいます。自分がチームを引っ張っていけるようになりたいです」と、あくまで『世界標準』の下、自分は周囲についていけばいい若手というカテゴリーではないと強調する。

まずは、来たるべく12名のメンバー入りへ「弱気にならず、自分のやれることを100%コートで体現することです」と馬場は意気込みを語る。学生からプロになったことで、心身ともにたくましさを増している逸材が、国際舞台で躍動する姿を期待したい。