クリッパーズ

ハレルの問題発言以降、チームは上向きに

今シーズンからカワイ・レナードとポール・ジョージが加わったクリッパーズは、ここまで31勝14敗、西カンファレンスで3位につけている。加入してすぐエースとなった2人を休ませることがあっても、在籍の長い選手が彼らの穴を埋めており、主力選手を入れ替えたにもかかわらずチームはプレーオフに向けて順調に歩みを進めている。

しかし、コート上での成功とは裏腹にロッカールームには複雑な事情があると『The Athletic』が報じている。

きっかけはモントレズ・ハレルの発言だ。1月4日にホームのグリズリーズ戦で26点差の大敗を喫した後、「僕らは強豪チームではない」と発言、チームの雰囲気に関しても「それも問題かもしれない」と語った。

これがチーム批判として波紋を呼び、翌日にヘッドコーチのドック・リバースが「まだ強豪ではないと彼は言いたかった」とその意図を説明することになった。しかし、ハレルに共感する選手はチーム内に何人もいるようだ。

チームの不協和音の原因はカワイ・レナードだと推測される。過去に大きなケガを負い、なかなか回復せずに苦しんだ経験のあるレナードは、定期的に試合を欠場することで身体への負担を減らす『ロードマネジメント』を行っている。一般的に選手はプレーできるものならできるだけ長く、また毎日でもプレーしたいと思うものだが、レナードは違う。

この特別待遇に対して、「チームへの献身が足りない」と考える者がいても無理はない。

レナードの寡黙な性格もチームケミストリーの構築に影響しているようだ。レナードはもともと積極的にコミュニケーションを取るタイプではないので、チームメートにとっては接し方の難しい選手だ。リバースヘッドコーチは「彼はチームのムードメーカーで、リーダーの役割を果たしている」と評価するが、レナードの性格からして、個性的な選手が揃うロッカールームをリーダーとしてまとめているのかどうかは疑問が残る。

ロードマネジメントに納得がいかない選手がいることも、レナードをとっつきにくいと感じる選手がいることも、恐らく事実だ。それでももう一つの事実として、彼がいるクリッパーズは強い。レナードが出場した試合では26勝8敗、欠場時は5勝6敗と、その事実を数字が物語っている。

クリッパーズはスーパースター2人が加入してコートの内外で新たなケミストリーを構築しようとしている最中だ。その過程では、衝突まではいかなくても摩擦や軋轢は起こるもの。レナードの発案で、選手だけのフィルムセッションを行ったとの情報があり、またハレルの問題発言以降、チームは6勝2敗と調子が上向いている。問題が明るみに出たことが解決への糸口になることもある。