サンダーで活躍することが自分にとってベストと判断
クリス・ポールは昨年7月にラッセル・ウェストブルックとのトレードでロケッツからサンダーへ移籍した。トレードが成立した直後から再び移籍するのではとの噂が絶えなかった。ラッセル・ウェストブルックにポール・ジョージと中心選手が移籍し、再建に舵を切ったチームにポールの居場所はないように思えたからだ。しかし、彼はサンダーで再び輝きを取り戻している。
ポールは新天地でのプレーを心から楽しんでいるようだ。彼のような競争心の強いスーパースターが優勝候補以外のチームでのプレーに満足できるか疑問を抱く者も多かったが、本人はチームへトレードを要求したことはないと話す。
ポールは『Sports Illustrated』の取材で、優勝が狙えるチームでプレーするために契約最終年のオプションを破棄するかと聞かれ「あり得ない」と即答した。最終年に受け取る4420万ドル(約49億円)の年俸が大事なのではなく、サンダーで優勝を狙えると考えているからだ。
サンダーもポールが気持ち良くプレーできるように最善を尽くしてきた。サム・プレスティGMは「ポールは突然のトレードに驚いていた。だから、まずは信頼関係を築くことだと考えた。彼の代理人とも協力しながら彼がサンダーの現状に対してどう感じているか確かめた」と話す。このチームで良いプレーをすることが、サンダーにとってはもちろん彼自身にもベストであり、急いで移籍する必要はないと納得するに至った。
ロケッツではポールはジェームズ・ハーデンのサポート役であり、アイソレーションと3ポイントシュートが中心では彼の良さは出せなかった。サンダーではポイントガードとしてより中心的な役割をこなすことになる。実際、彼にとってサンダーでプレーする一番のメリットはこの部分だろう。
コンディションも良好だ。ロケッツ時代はケガに悩まされていたが、昨年夏にトレーナーを代え、食事も野菜中心に変えた。バスケットへの考え方も、これまではとにかく結果重視だったが、今はプロセスを楽しむようになった。
ポールはサンダーの若手選手のメンターとしての役割もこなしている。ルーキーのダリアス・ベイズリーには、プロとしての心構えからパートナーの見つけ方まで様々なアドバイスをしている。ここに来て大ブレイク中のシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは、ポールと1対1やシュート練習をこなし、遠征先のホテルでは一緒に試合を見て様々な経験を伝えられ、対戦相手を分析したノートを渡されてもいるという。
オクラホマシティへやってきた『ポイントゴッド』は、リーダーとしてサンダーを引っ張っている。ただ、チームの成長を優先して勝利を捨てるつもりはない。「アナリティクスやオッズは気にしない。試合が始まれば勝利に向かってプレーするだけさ」と語るクリス・ポールは、一切の迷いなく自分にバスケットボールに集中している。