最終盤までもつれるクロスゲームに
栃木ブレックスvs千葉ジェッツの第2戦は最終盤までもつれる接戦となったが、信条とする堅守が蘇り、勝負どころでターンオーバーを誘発した栃木が77-72で勝利を収めた。
前半は栃木のペース。前日に続きライアン・ロシターが欠場するも、竹内公輔とアンドリュー・ネイミックがオフェンスリバウンドを何度も拾い、それを得点につなげていった。富樫勇樹に外角からの得点を次々と許すが、ペイントエリアで28点(千葉8点)を挙げた栃木が38-33とリードして前半を終えた。
しかし、後半に入ると千葉が反撃。阿部友和、富樫 、西村文男と3人のポイントガードを併用することで、パスの回りが良くなった千葉は合わせのプレーが増えてオフェンスが活性化した。ギャビン・エドワーズがインサイドを攻め、アキ・チェンバースが外から射抜いて逆転し、最終クォーターに突入した。
5点ビハインドで始まった第4クォーターに入った栃木だが、喜多川修平の4点プレーを含む2本の3ポイントシュートでビハインドを消し、ここから一進一退の攻防が続いた。
栃木はボールへの執着心や我慢強さをここ一番で発揮し、信条とする粘り強いディフェンスが蘇る。好ディフェンスはオフェンスにも好影響をもたらし、セドリック・ボーズマンを起点とするオフェンスが機能した。それでも試合巧者の千葉は一歩も引かず、1ポゼッション差のまま試合は進んでいった。
残り1分47秒、エドワーズにフリースローを2投決められ73-72と1点差に迫られる。残り1分を切った栃木のディフェンスの場面、エドワーズのポストプレーに対し、ネイミックが身体を張りシュートを打たせず、ヘルプディフェンスで圧力をかけた。焦ったエドワーズはパスミスを犯し、ボーズマンが速攻からフリースローを獲得。
このフリースローを2本とも沈め3点差とし、直後のディフェンスを乗り切りった栃木は、残り17秒で田臥勇太がフリースローを獲得。このフリースローを確実に2本とも成功させ試合に終止符を打った。この試合に関しては終盤のプレー精度で栃木が大きく上回った結果だ。
「プライドを持って、同じ方向を向いてやり通した」
指揮を執った安齋竜三ヘッドコーチ代行は「今まで2ゲーム目は勝っても負けてもそうなんですけど、相手のほうが激しさとか、強く来るのに対して、引いてしまう部分が多かったです。今日それを見せなかったら終わりくらいの気持ちでやれ、プライドを持ってしっかり戦えというのを選手に伝えて、それを選手全員が一人ひとり同じ方向を向いて、やり通したことが勝ちにつながったと思います」と総括した。
特に失点が少なかったわけではなかったが、ディフェンスの改善は明らかに見られた。まず一人で守り抜き、オーバーヘルプも少なく、高いリバウンドへの意識が堅守を支えた。
安齋コーチは言う。「今週ディフェンスの部分で、かなり激しく練習をしてきました。それが結果につながると、やっていることが報われるというか、選手もまたこういう練習をしていれば勝ちにつながるんだと思えるかと。どうしても負け続けると、何をやってもダメなのかと、メンタル的な部分でなってしまう。そこは今日の一つの勝ちで報われたんじゃないかなと思います」
ボーズマンの16得点を筆頭に5人が2桁得点を挙げバランスの良さを見せた栃木。10得点を挙げた田臥は「それでもディフェンスの良さがすべてだったと思います」と語り、ディフェンスの効果を強調した。
勝負どころで痛恨のターンオーバー
敗れた千葉の大野篤史ヘッドコーチは「ポゼッション数で負けたことと、4クォーターの大事なところでターンオーバーをしてしまったところが敗因です」と言葉少なに語った。
「前半の38点中23点がターンオーバーからの得点やセカンドチャンスによるもの。気持ちで解決できるもの、テクニカルなものがありますが、ほぼ気持ちのものだったと思ってます。栃木さんはポゼッションチームだと口酸っぱくいってきましたが、それが浸透していなかった」と最も警戒していた部分を遂行できなかったことを悔やんだ。
ゲームハイの22得点を挙げた富樫は「栃木のほうがオフェンスでもディフェンスでもアグレッシブでした。オフェンスリバウンドも含めタフに戦ってきました。接戦にはなりましたが、2日間通して激しさがあった栃木に持っていかれました」とコメント。
堅守とリバウンド、本来の姿を取り戻して千葉を撃破した栃木。この勝利がターニングポイントとなる可能性は大いにある。次節の川崎ブレイブサンダース戦で真価が問われる。
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