クリス・シルバ

NBA選手になる夢を追いかけるため、16歳で親元を離れる

ヒートの2ウェイ契約選手、クリス・シルバは2012年、中央アフリカのガボンからアメリカに渡った。当時16歳だった彼はまったく英語を話せず知り合いもいなかったが、NBAでプレーするという夢をかなえるために海を渡った。

それから高校、大学でバスケットボール選手として確かな評価を得たシルバは、今年の夏にヒートと2ウェイ契約を結び、念願を達成した。今シーズンはすでにNBAで25試合に出場し、平均3.8得点3.6リバウンド0.6アシストを記録するなど、戦力としてチームに貢献している。

親元を離れてから7年になるシルバは、これまでにビザを更新した大学2年の時しかガボンに帰っていない。この話をトレーニングキャンプ中に知ったというヘッドコーチのエリック・スポールストラは、球団、NBA、NBAアフリカと協力し、シルバに素敵なサプライズを用意した。

12月27日のペイサーズ戦前、スポールストラは選手を集め「ホリデーシーズンは、愛する人と一緒に過ごすためにある。良い時間を過ごせることを全員が感謝するものだ」と話し始めると、「私はシルバのことが頭に思い浮かぶんだ。最後に家族に会ったのはいつだ?」と、彼に尋ねた。

「3年前ですね」と答えたシルバに、スポールストラは「君のためにサプライズを用意した」と言うと、廊下から一人の女性がコートに現れた。その瞬間、シルバは「…母さん」と呟き、口元を押さえた。再び「母さんだ」と言うと、涙を堪えられず号泣。チームメートも、シルバ親子の再会を喜んだ。

ペイサーズ戦後、スポールストラは1カ月前からサプライズの準備を進めていたことを明かした。「球団が今日の瞬間に携われたこと、NBAと協力して実現できたこと。そしてクリスに喜んでもらえて非常にうれしかった。チームメートの反応も、しばらく忘れられないだろう」

シルバは、28日のセブンティシクサーズ戦前に、「実は母とは2日ほど前に話して、クリスマスにはまだ実家にいたんだよ。その時には近況を伝えたんだ。そうしたら母が突然現れたから、はじめは幽霊でも見ているのかと思った。母だと気づいた時、感情を抑えられなかった」と、話した。

『Miami Herald』によれば、シルバの母は、今後10日ほどアメリカに滞在するという。シルバは、母と過ごせる時間を楽しみにしている。

「まだマイアミについては詳しくないんだけれど、いろいろと調べて良い店で母と食事がしたい。母さんとたくさん一緒に時間を過ごしたい」

NBA選手になり、念願のデビューも果たしたシルバの次の目標は、本契約を勝ち取ること。だが、これから少しの間は、久々に再会したお母さんとの時間を楽しんでもらいたい。