文・写真=鈴木栄一

第4クォーター残り5分で71-71、互いに譲らぬ攻防に

10月20日、川崎ブレイブサンダースがホームでサンロッカーズ渋谷と対戦し、終盤までもつれる熱戦に85-83と競り勝った。

第1クォーター、まず試合主導権を握ったのはSR渋谷だった。広瀬健太、長谷川智也による3連続3ポイントシュート成功で9-0と先行し、28-15とリードを奪う。しかし、第2クォーターに入ると、川崎は長谷川技のこのクォーターで9得点を挙げる活躍などで盛り返し、44-43とわずかにリードして前半を終える。

後半は一進一退の展開に。第4クォーター序盤、川崎はルーキー小澤智将の3ポイントシュートで5点をリードするが、SR渋谷もすぐにベンドラメ礼生、長谷川の連続得点で反撃。残り約5分で71-71と、ともに譲らない。

試合残り1分14秒、川崎はジョシュ・デービスのゴール下の得点で勝ち越すが、SR渋谷は直後の攻撃で、ベンドラメがこの試合17得点目となるレイアップを決めてすぐに追いつく。だが、川崎はタイムアウト明けとなる残り54秒に篠山竜青のミドルシュートで再びリードを奪った。

ベンドラメ礼生、勝負どころで連続ターンオーバー

83-85、2点のビハインドを追うSR渋谷は、この日好調のベンドラメを起点としたオフェンスを展開。ベンドラメは持ち味のスピードを生かしゴール下にアタックするが、そこからアウトサイドにさばいたパスは辻直人にスティールされる。それでも次の川崎のオフェンスを防ぎ、残り18秒から再び仕掛けるも、先ほどと同じくドライブしたベンドラメからのパスがデービスにカットされて万事休す。川崎が辛くも逃げ切った。

試合の明暗を分けた残り1分を切ってからのオフェンスについて、SR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは悔いはないと言い切る。「礼生のアタックがすごく効いていたので、タイムアウトで礼生のアタックをデザインしました。その後、ディフェンスでストップした後、最後のオフェンスで選手たちが彼を見つけ、そこから良いアタックをしましたが、ジャンプパスに対してジョシュ・デービスがいいところにいてターンオーバーという結果になりました」

指揮官は、痛恨の2連続ターンオーバーを喫したベンドラメに対して、「引き続き強くアタックしてもらいたい。これから状況判断はどんどん良くなっていくだけだと思うので、もっと迷いなくアタックしてほしいです」と、ミスで消極的になるのではなく自分らしいプレーを続けるよう、信頼を強調した。

「最後まであきらめない執念が勝利をつかむ」

川崎はオーバータイムで勝利した16日のレバンガ北海道戦に続いて接戦をモノにした。北卓也ヘッドコーチは、「最後、2点取られてもおかしくないところをよくジョシュが戻ってスティールしてくれました。こういう最後まであきらめない執念が勝利をつかむプレーになりますので、これを継続していけたと思います」と語る。

篠山と辻が代表活動と並行しながらのプレーを強いられる中、序盤の悪い流れを変える奮闘を見せたのがセカンドユニットで、北ヘッドコーチも「非常に満足しています」と称えた。

「北海道戦ではセカンドユニットで点を取れない時間がありましたが、点を取れなくてもしっかりディフェンスをやり続けましょうと話をしました。篠山、辻がやはり少し動きが重かったので、早めに控え選手を出して、ハードにプレーさせようとかと思ったのが的中しました。若手の小澤、鎌田(裕也)もディフェンスでハードにやってくれて、そこからオフェンスの良い流れにもっていけた。彼らに期待している部分は大きいので、これからも使いながらチームの底上げも視野に入れて戦っていきたいです」

このように指揮官は、苦しい試合展開の中でもこれまで出番の多くなかった若手の頑張りによって勝利をつかめたことには手応えてを得ていた。ニック・ファジーカスが20得点10リバウンド、篠山が16得点7アシストと、主役がこの日もしっかり仕事を果たしている。この試合のようにセカンドユニットがどこまで貢献できるかが、これからの川崎における一番の注目ポイントなってくる。