主将の永野投入で落ち着きを取り戻し、逃げ切り
ウインターカップ男子2回戦、1回戦で三谷桂司朗を擁する広島皆実を下した船橋市立船橋(千葉)は、2回戦で中部大学第一(愛知)と激突した。
斉藤智海監督が「前半からウチのリズムでやらせてもらっていた」と話したように、市立船橋はボールへの執着心、球際の強さ、強度の高いディフェンスからのトランジションなど持ち味を存分に発揮し、中部第一を圧倒した。
和田将英が次々と3ポイントシュートを沈め、楊博がバトゥマニ・クリバリとのマッチアップでの失点を最小限に抑えるなど、最大で20点を超えるリードを奪った。
それでも、49-31とリードして迎えた後半開始20秒、キャプテンの永野雄大が4つ目の個人ファウルを犯し、ベンチへ退いたところから中部第一の反撃が始まった。ディフェンスの激しさが失われたことでクリバリの高さに屈し、約3分間で8点差まで詰め寄られた。
ここで斉藤監督は意を決し、4ファウルの永野をコートに戻した。「もう勝負だと思ったので、ここだというポイントで永野を戻しました。永野はクレバーなので5つ目をしないプレーができる選手だと。残りのプレータイムは長かったですけど、最後までやれるだろうという計算はありました」
「我慢してくれって気持ちでずっと見てました」と、ベンチでの胸中を明かした永野は「どうにかして挽回しようという気持ちで出ました。その強い気持ちがプレーに繋がって、ノーファウルでうまくできました」とその後のプレーを振り返った。
2ポゼッション差まで迫られたものの、永野の投入で落ち着きを取り戻したチームは、中部第一の猛攻をしのぎ、最終スコア88-82で勝利した。
「応援団と一緒になった一体感が市船」
市船は1回戦で超高校級の三谷、そして2回戦でクリバリを擁する中部第一を撃破し、ベスト16進出を決めた。伝統の激しい守備、そしてトランジションが機能した結果だ。特に強度の高い守備が印象強いが、斉藤監督は気持ちの面を最大の強みに挙げた。
「もちろんディフェンスで頑張って、走って気持ち良く点数を取るのが市船のスタイルです。一番最初はディフェンスですが、サイズがある相手にどうしようもない時に気持ちが滅入ってしまうから、オフェンスを中心に声掛けをします。一番の強みはオフェンスでもなくディフェンスでもなく気持ち。あとは仲間同士の絆、応援団と一緒になった一体感が市船です」
永野も、示し合わせたように仲間たちの声を強調した。「プレーでの強みもあるけど、それ以上にベンチもそうだし、観客席からの応援が選手全員の力に大きくなってるって自分自身も感じています。僕らの観客の声援しか聞こえないくらいです」
市船のベンチの盛り上がり具合は他チームと一線を画し、また観客席から応援する者もサンタの格好に扮するなど、賑わっている。
今日はメインコートに立つ権利を懸け、山﨑一渉を擁する明成(宮城)と戦う。