『23』はBリーガーより学生や女子選手に人気?
川崎ブレイブサンダースのルーキー、ジュフ・バンバは、彼にとってのヒーローである『神様』マイケル・ジョーダンと『キング』レブロン・ジェームズと同じ背番号『23』を大学時代から背負ってきた。MJとレブロンにあこがれを抱くのは、バスケットボール選手にとっては至って当然のことである。だがその番号を背負うとなると、ためらわせるに十分な重みがある。
この『神様』と『キング』の番号を選択したBリーガーは……と調べたところ、18クラブあるB1にはたった4人しかいない(ちなみにB2でも同じく4人)。『23』に着目したのは、クライマックスを迎えている関東大学リーグや開幕したばかりのWリーグでは頻繁に見かけるからだ。関東大学1部リーグの10チーム中、6人が『23』をつけている。Wリーグでも半数となる6人がレジェンドナンバーを選んでいた。では、Bリーグではどのくらいいるのかと興味を持ち、B1全クラブのロスターを見ていったところ、4人しかいなかったわけである。
『1』から『23』へ変更したレバンガ野口の決意
先に挙げたバンバの他に野口大介(レバンガ北海道)、ブランデン・ドーソン(サンロッカーズ渋谷)、横江豊(滋賀レイクスターズ)が『23』を背負うB1プレーヤーだ。ドーソンはミシガン州立大学やクリッパーズ時代は『22』をつけてきたが、新天地では迷うことなくレジェンドナンバーをチョイスしている。しかし、張り切りすぎたか開幕前にケガに見舞われ、インジュリーリスト入りしてしまったのは残念。日本体育大学時代から9年に渡って『23』をつけてきた横江にとっては、すでに自分の番号として染みついている。
野口は2シーズン前まで『1』をつけていた。北海道の『23』はNBLラストの2015-16シーズン、特例措置により1日限定でロスター入りを果たした38歳のルーキー、佐藤竜弥さんの背番号である。野口にとっては東海大学付属第四高校と日本体育大学での尊敬する先輩が佐藤さんだ。当時、佐藤さんは重い病と戦っていた。その病気に打ち勝つためには強い目標とモチベーションが必要であると考えた北海道が、たった1日ではあったがプロとして契約し、佐藤さんもプロバスケットボール選手のキャリアを刻んだ。だが、北海道の一員となった約1カ月後に訃報が届く。志半ばでこの世を去った佐藤さんの意志を受け継いだ野口は、Bリーグ初年度となった昨シーズンより『23』を背負い、先輩とともに今も戦っている。神様やキングとはまた違った思いが詰まっているこの『23』も非常に重たい。
Bリーグ独自のヒーローナンバーを模索せよ!
『23』は4人しかおらず、その人気順はズバリ23番目……となればよかったが、一つ違いの22番だった。ちなみに、現在のB1選手がつけている背番号は47パターンある。
最も人気がある背番号は『3』と『9』で、18クラブ中12人がつけている。人気があるということはすでに先約がいる可能性が高くなり、今後移籍したときに同じ背番号をつけられないケースが高いとも言える。『0』(00を含む)から『25』まではしっかり埋まっているが、そこから先は歯抜けになっていく。
テレビでNBAを頻繁に見られるようになった高校生の頃からずっと気になっていたことがある。今から30年ほど前の話だが、二桁の背番号の下一桁はほとんどが5以下ではないか。漠然とそんな風に思っていたが、実際にB1で集計してみるとそれが立証された。『10』以上の二桁の背番号を背負う選手は130人いる。そのうち、下一桁が6以上となる『X6』から『X9』を背負っているのはたった14人。ほんの1割程度しかいない。『3』『9』がトップにもかかわらず、『39』を選ぶ選手もいなかった。女子では赤穂さくら(デンソーアイリス)が、日本代表時に名前の「さくら」から取った『39』をつけている。このロジックで言えば、ぜひロバート・サクレも背負ってほしい。
Bリーガーにあこがれるバスケキッズは増加していることだろう。誰が赤で誰が黄色かを争うヒーローごっこと同じように、背番号を取り合うようになってほしいものだ。「オレは田中大貴選手と同じ24!」、「私はイケメンの宇都直輝選手がいい!」みたいな会話や、練習時のナンバリングを取り合うようなことが起きた時、本当の意味でのBリーグが成功した姿である。
そのためにもBリーガーたちは、自らがヒーローとなるオリジナルの背番号を模索していただきたい。『23』は今では、バスケットボールだけの数字ではなく、その番号をデザインしたファッションアイテムも多く見かける。背番号が一人歩きした時も、一つのバスケットボール文化となる。NBAでも人気がない『X6』~『X9』でリーグやクラブを代表するヒーロー誕生が待たれる。今、一人しかつけていない『X6』以降を背負っているのは以下の2人だけであり、注目のヒーロー候補として推しておこう。
西宮ストークス『19』梁川禎浩
栃木ブレックス『46』生原秀将
個人的な意見ではあるが、ニック・ファジーカス(川崎)にはぜひ『29』を背負って欲しいと来日した時から密かに思っている。