写真=Getty Images

2016-17シーズン成績 : 47勝35敗 西6位/プレーオフ1回戦敗退
FG成功率 45.2%(リーグ17位)
3ポイントシュート成功率 32.7%(リーグ30位)
平均得点106.6(リーグ11位)
平均失点105.8(リーグ16位)

低評価を覆し続ける『編成の妙』を今夏も披露

昨シーズンはケビン・デュラントの退団により単独エースとなったラッセル・ウェストブルックが覚醒した。平均31.6得点、10.7リバウンド、10.4アシストを記録してNBA史上2人目の『平均トリプル・ダブル』を達成し、キャリア初となるシーズンMVPを受賞。シーズン開幕前の時点では『ウェストブルックのワンマンチーム』と揶揄され、低迷が予想されていたが、サンダーは西カンファレンスの6位でプレーオフに進出を果たしている。

それでもロケッツの超攻撃的バスケットの前にプレーオフ1回戦で姿を消すことに。今夏のチーム作りは難航することが予想されたが、蓋を開けてみれば大幅な戦力アップに成功している。至高のスコアラーであるカーメロ・アンソニーと、リーグトップクラスの2ウェイプレーヤーに成長したポール・ジョージをトレードで獲得し、先発に3人のオールスター選手を揃えた。

それだけではない。昨シーズンのオールディフェンシブセカンドチームに選ばれたアンドレ・ロバーソン、身体を張った守備を厭わないセンターのスティーブン・アダムズがいて、バランスは悪くない。新ビッグ3を中心とするケミストリーが機能すれば、相当な好成績が期待できる。

不安視されたセカンドユニットの補強にも及第点をつけられる。アンソニーとのトレードによりエネス・キャンターを放出したが、昨シーズン平均14.3得点を記録したキャンターはディフェンスに大きな穴のある選手だった。その点、オフに獲得したパトリック・パターソンはキャリアを重ねるごとに守備を向上させている選手で、ストレッチ4としても一定の評価を得ている。

若手で期待したいのは2年目のシューターであるアレックス・アブリネス。NBAレベルでの課題だったフィジカル強化に取り組み、攻守両面でレベルアップしている。

ウェストブルックの控えにベテランのレイモンド・フェルトンを置いたのも大きい。あらゆる状況に対応できるだけではなく、ウェストブルックのプレータイムをコントロールできる。本人も「セカンドユニットをリーダーとして引っ張りたい」と話すなど、意気込みも十分だ。

シーズン開幕前にウェストブルックが契約延長に応じ、今シーズン終了後にフリーエージェントになるジョージも再契約を示唆している。毎年のように厳しい状況に立たされるサンダーだが、フロントは補強も将来に向けた布石も満点回答と言えるほどの仕事をしている。ただ、毎回が綱渡りなのも事実。優勝争いを演じられるだけのチーム力があることを内外に示すことができなければ、今の陣容を維持するのは難しい。オクラホマシティに移転してから『最大の賭け』に出たサンダーは、果たして勝者になれるのだろうか。