文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

リバウンドを取ってから、2つ目3つ目の展開に課題

Bリーグ初年度王者の栃木ブレックスが苦しんでいる。前節はホームで千葉ジェッツに連敗を喫し、これで開幕から6試合で2勝4敗、東地区で単独最下位に沈んだ。

負けが先行することよりも、パフォーマンスが上がってこないことが問題だ。リバウンドを制し、ポゼッションの数で上回りつつ、トランジションでイージーシュートの機会を作り出して相手との差を開いていく。これがシンプルながら強力な栃木のバスケットだ。しかし、今シーズンはその展開を作り出せない。

ジェフ・ギブスをケガで欠いてはいるが、ライアン・ロシターを中心にリバウンドの強さは保っている。現状でリバウンド数はリーグトップ(1試合平均41.8)だ。しかし、リバウンドを取ってからの展開がうまく行かない。オフェンスリバウンドをそのまま押し込む、あるいはキックアウトしてオープンスリーを打たせる。ディフェンスリバウンドを取ってそのまま走る。昨シーズンは当たり前にできていたプレーがスムーズにいかない。

田臥勇太は千葉ジェッツに連敗を喫した日曜の試合後にこう語っている。「徹底的に速攻を封じ込めようという千葉の意識は感じました。リバウンドはインサイド陣が毎試合頑張ってくれていますので、そこから速い展開を仕掛けていく中で一発で行けるのがベストですけど、相手も対策してくるので行けない時のほうが多くなってしまう。そういう時に2つ目3つ目の展開をどう組み立てていくかが一つの課題。それはチームとしてもそうだし、ポイントガードとしてもやらないといけない」

優勝チームである栃木が相手に警戒されるのは当然のこと。田臥の言う「2つ目3つ目の展開」をチームとして確立できないうちは、苦戦が続くことになりそうだ。

「真剣にとらえないとこのまま変わらない」

パフォーマンスの変化はもう一つ、昨シーズンの強みだったセカンドユニットがごっそりと抜けたことだ。新加入選手のうち鵤誠司は平均22分と長いプレータイムを得ているが、期待に応えられているとは言いがたい。特に千葉との試合では鵤が狙われ、チームの勢いを削ぐ結果となってしまった。また、喜多川修平は周囲との連携ができていない状況でスポットシューターとしての良さが出ていない。山崎稜に至ってはほとんどプレータイムを与えられていない。

新戦力をうまく取り込めていないことがチーム力の低下に直結しているのが現状だ。田臥は「もちろん簡単に行くはずはないと思っていました」と話す。

「毎試合勝利を目指して、1試合1試合集中していくことなので。ライアンも試合中に言うんですけど、点差とか勝ち負けよりも自分たちがゲームの中でどうバスケットをしていくか、それを意識しています。結果が出れば一番うれしいですけど相手も強いわけで、なかなか簡単にはいきません。そういう状況の中で一人ひとりがどう感じてチームとしてどう強くなっていくのか。真剣にとらえないとこのまま変わらずになってしまうので、その繰り返しかなと思います」

「若い選手もいて、僕もそうですけど、いかにコンスタントにプレーできるか、メンタルを保ち続けるかは本当に難しいこと。それができる選手、できるチームがやっぱり強くなると思います。試合の時だけ意識してもダメで、練習中から全員で。自分が感じてそれを言うことによって自分にも言っているというか、勉強になる部分もあるので、昨シーズン以上にやります」

「チャンスをどう見つけて自分たちのモノにしていくか」

負けが先行してはいるが、シーズンは始まったばかり。もちろん、進んだ先には光があると信じている。「昨日もそうですけど勝てないわけではないと思っています。絶対に勝てるチャンスはあるし、そこをどう見つけて自分たちのモノにしていくかを、メンバーが代わったからこそ、監督が代わったからこそやっていかなきゃいけないと感じました」

開幕前から田臥は「チャレンジャーとして戦う」という言葉を繰り返し、そのたびに「楽しみたい」と話していた。苦しい戦いを強いられても「変わらないですね、そこは」と田臥。「連敗もしてますけど、まだ6試合ですのでしっかりと。この負けをどう次につなげていくか、無駄にせずしていくのかが大事。そういうことも含めて楽しみたいです。これからどう変わっていけるか、成長していけるか。そのチャレンジをしていくのが楽しみなのは変わらないです」

東地区は激戦区。千葉の次はアルバルク東京との対戦が控えている。「ディフェンスとリバウンドっていうのは自分たちの強みとしてしっかりやっていかないといけないですし、そこからディフェンスにどうつなげるか、自分たちの得意な展開ができない時にどう打開するのかっていうのをもう一度しっかり考えて。単発に終わってしまうと相手も楽なのでボールをしっかり動かして人を動かしてというのができれば。そのへんを意識して臨みたいと思います」

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