文=丸山素行 写真=野口岳彦

畠山とのツーガードが機能して14得点3アシスト

昨日、新潟アルビレックスBBは延長の末にアルバルク東京に初黒星を付けた。数多くのタレントを擁するA東京とのアウェーゲームでの1勝1敗は悪くない結果だ。新潟の正ポイントカードの五十嵐圭は、オーバータイムにもつれた激闘を振り返り、チーム一丸の勝利を強調した。

「ダバンテ(ガードナー)は、退場するまではずっとチームを支えてくれていました。彼がいなくなって厳しい状況にはなりましたけど、残った選手、ベンチ含め、スタッフも含めて最後まで全員で戦った結果が勝利につながりました」

五十嵐は昨シーズンから日本人選手の得点力不足を問題視していたダバンテというリーグでもトップクラスのスコアラーはいるものの、それだけで勝てるほどB1は甘くはなかった。だが第2戦では五十嵐を含め、ダバンテ以外の4人が2桁得点を挙げるなど、相手に的を絞らせなかった。その中で五十嵐は18得点の畠山俊樹の活躍が大きかったと話す。

「特に俊樹が2番ポジションで出ている中で、田中大貴選手を良いディフェンスで嫌がらせていました。オフェンスも自分たちが停滞している時にレイアップ、ミドルシュートとうまくつないでくれました」

城宝匡史のケガの影響で畠山は今シーズン初の先発出場となった。去年からツーガードシチュエーションというのはずっとやってきた部分でもあったので、僕と俊樹がうまく得点にからめたのは良かった」とツーガードに手応えを得た様子。

また五十嵐は鵜澤潤の働きも称えた。2本の3ポイントシュートを含む10得点2ブロックショット、サイズで不利ながらもインサイドで身体を張り、要所で存在感を示した。「鵜澤のところが去年と違うところで、ファウルトラブルが起こったり、アクシデントが起きた時に日本人ビッグマンがいるっていうのが今日の強みでもあった」

「試合の中で修正できる」円熟の戦いぶりを披露

敗れた初戦も第3クォーターの一部の時間帯を除けば、新潟がペースを握っていた。庄司和広ヘッドコーチも「誤算は少なかった」と表現したが、ペースコントロールは改善すべき点だった。それを1日で修正したことが実を結び、第2戦ではA東京のファストブレイクポイントを0に封じた。

五十嵐はポイントガードとして、その修正力に自信を見せる。「昨日ダメだったペースコントロールの部分も、常にペースをコントロールし、あれだけファストブレイクが得意な東京に、今日は1本も出させなかった。試合の中で修正できるというのが去年と違ったところでもありますね」

ペースコントロールは速攻を封じるだけでなく、体力の消耗も抑えられる。タイムシェアを徹底するA東京に対し、ケガ人が続出してプレータイムが偏る新潟が競り勝ったのも、この効用があったからだ。新潟は横浜ビー・コルセアーズに次ぐリーグ2位の平均年齢の高いチーム。「最後に出ている選手はほとんど30代でしたけど、ベテランでも若いチームに勝てるんだっていうところを見せれたので良かった」と、チーム最年長となる37歳の五十嵐は笑顔を見せた。

若くないチームだが「伸びしろはたくさんある」

「これだけケガ人がいて、ダバンテもいない中で勝てたっていうのは選手の自信にもなったと思います。伸びしろはチームとしてたくさんあると思うので、ベテランの力を見せて旋風を巻き起こせるようにしたい」

昨シーズンは10年目にしてキャリアハイの出場時間となる平均31.8分の出場で、「正直、疲れました」とこぼしていた五十嵐。4試合を終えて平均30分と今シーズンもフル稼働の気配が漂うが、それでも必要とされることを素直に受け入れている。「勝つのと負けるのとでは気持ち的にも違うので、良い勝利でした」と年齢以上に若く見える笑顔を残し帰っていった。

ガードナーという絶対的なエースを擁し、五十嵐が老獪にペースをコントロールする。先発かベンチかを問わず、どの選手も経験豊富で、自分たちの持ち味を存分に発揮するとともに相手の得意な展開に持ち込ませない。ベテラン揃いのチームではあるが「伸びしろはある」と五十嵐が言うのは、噛み合えばもっと良さが出るということだろう。若い力の台頭が目立つリーグだが、『ベテラン旋風』も存分に巻き起こしてもらいたい。