「僕はスーパースターではない」
滋賀レイクスターズがサンロッカーズ渋谷のホームに乗り込んだ先週末。第1戦は序盤からSR渋谷のプレッシャーに圧倒され76-84で敗れたが、第2戦では終盤まで接戦となるも92-79で勝利した。
15得点3リバウンドを記録し、勝利に貢献した佐藤卓磨は、「昨日は、渋谷さんに出だしから本当に圧倒されて、自分たちのやりたいバスケが全然できませんでした」と第1戦を振り返り、続く第2戦で課題を修正できた要因をこう話した。
「第1戦では試合が上手くいかずに、審判の笛とかでもフラストレーションが溜まって、自分たちの気持ちもプレーもコントロールできなくなっていました。それで夜に選手だけでミーティングをして、今日は自分たちの勝利のためだけにやろう、という気持ちを持つことに集中しました。そのおかげで今日は出だしがすごく良かったと思います」
佐藤が言うように、第2戦では序盤から滋賀が積極性のあるバスケットを展開した。それでも第4クォーター残り5分までは一進一退の攻防が続いたが、ジェフ・エアーズや齋藤拓実の奮闘により滋賀がSR渋谷を突き放した。
対するSR渋谷は3ポイントシュートで点差を縮めようと、とにかくシュートアテンプトを増やすもリングに嫌われた。そして指揮官ショーン・デニスは、「佐藤が最後の場面でディフェンスリバウンドを2つ取ってくれたのが本当に大きかった。彼はそういった試合が重要な時間帯でのポゼッションを理解してくれている」と、佐藤の活躍を絶賛した。
佐藤もこれに対し、「僕の強みは本当にリバウンドだと思っています」と手応えを話すと、自分がゲームの中でどうありたいかを語った。
「僕はスーパースターではなくて、本当に勝つためにチームに必要なピースでありたいとすごく思っています。みんなが疲れてきても、僕はずっと跳んだり、そういう泥臭いプレーのリーダーになれるようにやっています。今日は運が良かった部分もあるけど、リバウンドに行っていたからあの場面で取れたと思うので、この気持ちは忘れずに、良いところでリバウンドや点を取れる選手になりたいです」
「本当に最後は気持ちで勝ったと思います」
1試合を通すと主導権は滋賀が握っていたが、相手は強豪が集う東地区で上位に食い込んでいるSR渋谷だ。SR渋谷のペースを上回るバスケットを40分間遂行することは、体力的にもメンタル的にも簡単ではない。
佐藤も「第4クォーターのラスト4、5分ぐらいから、めちゃくちゃキツくて、試合がすごく長く感じました」と明かす。それでも、一番苦しい時間帯を乗り越えられた理由を「本当にキツかったんですけど、狩野(祐介)さんが5人を集めて『あとは気持ちで頑張ろう』って。それもあって、本当に最後は気持ちで勝ったと思います」と、チームメートの励ましが勝利に繋がったと語る。
選手同士で鼓舞し合って勝利したが、この試合では外国籍選手のフラストレーションが爆発しそうになった時に、日本人選手が抑える場面が多々見られた。
「そういう時にコーチが言うのではなくて、僕たちが支え合って、ちょっとオーバーになっても良いから次に繋がるような雰囲気作りをすることを、今シーズンは大切にやっています。練習の時から経験豊富なベテラン選手がすごく良い雰囲気を作ってくれていて、それに僕たち若手が頑張ってついていこうとしています。今はすごく良いチームケミストリーが作れていると感じていますね」
「ディフェンスとリバウンドではリーダーになりたい」
滋賀はこの試合に勝利して、現在9勝12敗で西地区4位にいる。徐々にチームケミストリーも高まり、白星も増えてきているが、佐藤は「昨日の出だしみたいに酷い試合もしてしまったし、まだ勝率が5割に行っていないので全然満足していないです」ときっぱりと言う。
目標はチャンピオンシップ出場。そのためにも「悪い時こそ、もっと選手たちが自主的に声掛けをして盛り上げて、チーム一体となってやっていきたい」と意気込みを語る。個人的にも「特にディフェンスとリバウンドではチームのリーダーになりたい」と、若手ながらもチームを引っ張って行く覚悟も持っているという。
滋賀がここから先さらに勝ち星を増やしていくにも佐藤の成長は不可欠で、泥臭いプレーのリーダーとしてチームを引っ張って行く姿に期待したい。
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