「ディフェンスに対する共通認識がより強くなっている」
12月1日、シーホース三河は天皇杯のベスト16で名古屋ダイヤモンドドルフィンズに75-59と圧勝。年明けに埼玉で開催されるファイナルラウンドへの進出を決めた。
この試合、三河の勝因となったのは堅守に加え、29-15と圧倒した第3クォーターでの素早いトランジションだった。ここまでは、あまり発揮できていなかった若手選手たちの機動力を生かしたオフェンスで次々とゴール下に切れ込み得点を量産した。
この爆発を重戦車アタックのダバンテ・ガードナーとともに牽引したのが岡田侑大だ。持ち味の切れ味鋭いドライブで相手ディフェンスを切り崩し、自らシュートを決めるだけでなく、味方のシュートチャンスを作り出した。
岡田は今シーズン有数の良い出来だった守備について、こう振り返る。「今日は、相手がノーマークのシュートを外してくれて助かった部分がありました。ただ、その中でもリバウンドを取り切れたのは、良かったと思います。ディフェンスに課題があることはみんな分かっていて、今はチームディフェンスをしようという共通認識がより強くなっています」
そして、第3クォーターに展開した走るバスケットこそが、自分の持ち味をより発揮できるシーンだと手応えを語る。「自分はああいうバスケの方が生きる選手だと思います。その中で今日は外のシュートの調子が悪かったので、そこが入ればもっと良いバスケになります」
「一発勝負で、みんなが集中できたのは次に繋がります」
これまで数多くの勝利をつかんでいた三河にとって、天皇杯のファイナルラウンド進出は恒例行事だ。しかし、今シーズンは開幕から黒星が大きく先行しており、暗雲も漂っていた。その中での快勝に、岡田も「いつもみたいに良い流れから入れたわけではなく、少し厳しい雰囲気からの天皇杯でした。そこでの一発勝負で、みんなが集中できたのは次に繋がります」と、この勝利を弾みにしたいと考える。
ただ、上昇気流に乗るためにも「次の試合で連勝することができたら、チームとしても乗って行けます」と、リーグ再開となる今週末の滋賀レイクスターズ戦でしっかり勝ち切ることが必要になると強調する。
折しも連戦の初戦は、得点源のガードナーが出場停止となっている。さらに金丸晃輔も欠場が続いており、いかにチームとして戦えるのかがより問われる。だからこそ、岡田は滋賀戦をこのように重要視する。
「今回の勝利を機に勢いに乗りたいです。ただ、次はガードナー選手が出られない状況です。そこでどう点数を取るのか、どういうバスケットをするのかは、これからのシーズンにも関係してくると思います」
そして、この状況において岡田は攻撃の起点として大きな役割を担うことが予想される。だが、それをプレッシャーと感じることなく、自らの力を示せる機会だとポシティブにとらえる強さを彼は持っている。「自分は結構楽しみにしています。点数を取るだけでなくて、僕が入ることによってボールの流れが良くなるところをしっかり見せていきたいです」
「メンバーが揃うだけでは勝てないことを思い知らされた」
今回、よい勝ち方をしたとはいえ、リーグ戦において今の三河は4勝12敗と苦しんでいる。「良いメンバーが揃っていても、それだけは勝てないことを思い知らされました」と言う岡田は、これからの巻き返しに向け闘志を燃やしている。
「負けたら素直に悔しいですし、絶対に勝ってシーズンを終えたい。今は前を向いていくしかないです。まだまだプレーオフに出られるチャンスも残っているので、しっかりつかみにいきたいと思います」
12月、三河が反攻していくためには、今回のようなディフェンスを継続していくこと。そして、オフェンスではガードナー頼みにならずいかに走る展開に持っていけるかが重要だ。そための鍵を握るのは岡田だ。