文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

三河に先行を許すも、新戦力が個性を発揮して逆転

2年目のBリーグが開幕。初代王者の栃木ブレックスはシーホース三河をホームのブレックスアリーナに迎えた。

栃木の先発は田臥勇太、遠藤祐亮、鵤誠司、竹内公輔、ライアン・ロシター。三河の先発は橋本竜馬、比江島慎、金丸晃輔、桜木ジェイアール、アイザック・バッツ。オン・ザ・コートは互いに「1-2-1-2」となった。

序盤は桜木と金丸の合わせで先制した三河のペースに。「去年のプレープラス、トランジションの展開を出そうとしてて、第1クォーターはそれができました」と鈴木貴美一ヘッドコーチが話したように、ボールをプッシュしてリズムを作り、強力フロントコート陣がインサイドを制した。第1クォーター終盤に金丸が目の下を負傷し交代するアクシデントに見舞われるも、桜木とバッツの2人で14得点を挙げ、21-13と三河がリードして第1クォーターを終えた。

だが第2クォーターに入ると、堅守からの速攻という得意のスタイルがハマり、栃木が逆転に成功する。ディフェンスの強度を上げタフショットを誘発し、確実にリバウンドをモノにすることでリズムが生まれる。オン・ザ・コート「2」でのセドリック・ボーズマンの3番起用が生きて、リングへのアタックからの合わせ、ポストアップ、速攻と得点に絡んでいく。また生原秀将が積極的にシュートを放ち、3本のシュートをすべて沈め逆転した。

昨シーズンの財産『堅守速攻』を新シーズンも発揮

後半に入っても堅いディフェンスを継続し、田臥が速攻から3点プレーとなるバスケット・カウントをもぎ取るなど栃木のペースで試合は進む。、またリバウンドへの意識で三河を上回り、このクォーターだけで5個のオフェンスリバウンドを獲得してリードを広げた。

第3クォーター残り27秒、ロシターがミドルシュートを沈め59-47。さらに桜木のフラストレーションがたまり、アンスポーツマンライクファウルをコールされる。61-47と栃木14点リードで迎えた最終クォーター。三河がゾーンディフェンスを敷くも生原が3ポイントシュートを沈め、流れるようなパスワークでゾーンの攻略に成功する。

残り7分16秒、ボーズマンが狩俣昌也からボールを奪った場面、これまでのクセで速攻を止めに行った狩俣がアンスポーツマンライクファウルをコールされるシーンも。このフリースローをボーズマンが沈め70-49、三河は金丸をベンチに下げ白旗を上げた。

最終スコアは78-64。栃木は破壊力抜群の三河を60点台に抑え、開幕戦を完勝で飾った。栃木を率いる長谷川健志は「ディフェンスを集中して継続し、リバウンドで相手を上回ることができた」と勝因を語った。

オフェンスリバウンドで22-7と圧倒したことで、三河の目指すバスケットを封じた。鈴木コーチは「栃木さんはディフェンスを頑張って速攻を出すという、去年の財産が残っていた。良いディフェンスとリバウンド、単純なところで向こうのほうが上回った」と冷静に敗因を分析した。

快勝発進の長谷川コーチ「大切な日になりました」

栃木で目立ったのは生原だ。特別指定選手だった昨シーズンはプレータイム確保に苦しみ平均3.0得点に終わったが、この試合では16分の出場で14得点と要所で効果的な働きを見せた。「田臥さんと同じことをしても出てる意味がないので、得点を取りに行くことが自分に必要だと積極的にいきました。個人の目標として今年は得点を取りに行くということがあったので、それがしっかり出せたなと思います」と力強く語った。

観客は4012人。「これだけお客さんが入るとやっぱりプロチームのコーチとしてやってるんだなと。代表とも大学とも違うので、新たなステージでプレーヤーと一緒に戦え、私にとって大切な日になりました」と長谷川コーチは笑顔を見せた。

栃木は去年の強みである「堅守速攻」から流れをつかみ、三河を退けた。今日18時5分ティップオフとなる第2戦では、両チームの『修正力』が問われる。

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