文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

開幕を控え「例年以上の仕上がり」と手応えを語る

昨シーズンの平均観客数4503人、2位以下に圧倒的な大差を付けてのリーグトップを記録した千葉ジェッツ。開幕を前にファンを集めた『決起会』は大盛況で、キャプテンの小野龍猛は「みんなが笑顔になってくれるので僕たちもすごくうれしいです」と語る。「毎年毎年人数が増えていくんですよ。これだけの人に来ていただいて、これだけ支援していただいて、感謝しきれないです」と入団5年目を迎える小野はチームの人気アップを実感し、本当にうれしそうだ。

Bリーグ開幕を控えたチームの仕上がりについては「完成はまだですけど、良い形で開幕戦を迎えられると思います」と手応えを語る。

『アーリーカップ』で準優勝、先日開催された『THE SUPER8』では優勝と、プレシーズンマッチでは抜群の成績を収めていることからも充実度がうかがえる。「『THE SUPER8』は疲れましたね、あの5連戦はキツかったです。でも『開幕前だから良い経験をして帰ろう』と言っていた中で、勝って帰ることができたのが一番大きいです。すごいプラスになっています」

「現時点での完成度は、去年より間違いなく良いんじゃないかな。例年以上の仕上がりで開幕を迎えられるので、楽しみにしています」と、小野は開幕に向けた自信を語る。昨シーズンの千葉は44勝16敗と好成績を収めたが、開幕からの12試合で5勝7敗とスタートダッシュには失敗している。最終成績を見れば、調子が上がらなかった前半戦がチャンピオンシップでホームコートアドバンテージを取れなかった要因であったのは明らか。千葉の誰もがスタートダッシュがいかに重要かを理解している。

チームが崩れないよう『締める』、キャプテンの仕事

どんなに良い準備をしても、何が起こるか分からないのが勝負の世界。小野は不安要素として『集中力の持続』を挙げた。「気がかりなのは集中力。どのチームもそうかもしれないですけど集中力を持続してやっていれば、崩れることはないと思うんです」

この『崩れる』という言葉は、昨シーズンの栃木ブレックスとのチャンピオンシップ第2戦のことを指していた。大量リードを奪いながらも逆転負けを喫しての終戦。「あれは完全に崩れましたね」と苦笑いを浮かべる小野だが、意識は完全に切り替わっている。「悔しさはありましたけど、悔いはないです。去年みたいに崩れることをなくしたい、それだけです」

長丁場のシーズン、ネガティブな何かが起きることもあるだろう。ただ、そこでチームが崩れないように踏ん張るのがキャプテンである小野に期待される部分だ。「コート上に出ている間はチームを安定させられればなって思ってます。それが僕の仕事だと思っているので、(崩れかけた時に)僕が締められればなと」と小野。以前から「キャプテンらしいことは特にしていない」と言うタイプのキャプテンだったが、「だからこそ、逆にそういうところでやれれば」と、コートで重責を担うことを誓う。

「崩れなくて集中力を持続できれば、間違いなく強い」

代表活動があり、短いオフを挟んでアーリーカップもあった。Bリーグがスタートしたことでオフは短くなったが、それでも小野は「いつも通りです、もう開幕かあって感じですね。この4年間はずっとそんな感じなので」とあっけらかんとしている。「代表活動があって、2年前までは開幕1週間前にチームに帰ってきて、『はい試合です』って感じだったので」と、多忙なオフを例年過ごす小野にとっては別段変わりはなかったようだ。

新シーズンに向けた自信を聞かれて「勝負事なのでやってみないと分からない」と、慎重と言うよりは現実主義な面を見せる小野。それでも、「崩れなくて集中力を持続できれば、間違いなく強いチームになると思います」と落ち着きながらも力強く語った。

千葉の開幕戦は明日、アウェーでの西宮ストークス戦。小野の静かなるキャプテンシーに注目したい。