東京ダービーは1勝1敗に
11月25日、サンロッカーズ渋谷が敵地に乗り込んでアルバルク東京と対戦。18点差で敗れた前日と違い、後半に相手の修正能力を上回る激しいディフェンスを見せたSR渋谷が77-65で見事なリベンジを果たした。これで両チームとも12勝4敗で並んでいる。
試合は、第1クォーターからともに強度の激しいディフェンスを見せ互角の出だしとなる。しかし、SR渋谷は終了間際、残り0.5秒からのインバウンドパスを受けた杉浦佑成がハーフコートラインの近くから振り向きざまの超ロングシュートを沈め6点をリードする。
第2クォーターにA東京も盛り返していくが、SR渋谷は前半だけで22得点と大暴れのライアン・ケリーが、このクォーターだけで3ポイントシュート4本成功と大当たり。シュート確率はほぼ同じだったが、シュート本数がSR渋谷の38本に対し、A東京は29本。ターンオーバーの差もあって単純により多い攻撃回数を得たSR渋谷が11点リードで前半を終える。
第3クォーターに入ると縦へのアタックを強めるA東京に対し、SR渋谷のファウルが増えていく。これで得たフリースローで着実に加点していったA東京が残り3分48秒に54-54と追いつく。だが、SR渋谷はベンドラメ礼生が、このクォーターだけで16得点と爆発。エースの活躍で悪い流れを断ち切ると、10点リードにまで再び突き放す。
第4クォーターは、互いに相手のディフェンスを崩せず点が入らないこう着状態となる。常にリードをキープしたSR渋谷が、A東京に大きな反撃の機会を与えずにそのまま逃げ切り、昨シーズン6戦全敗だった同地区ライバルを撃破した。
「僕たちはどんな相手でも倒せることを示せた」
この試合、28得点7リバウンド2ブロックと活躍したライアン・ケリーは、「リーグ全体だけでなく、自分たちに対しても、僕たちはどんな相手でも倒せることを示せた」と王者からの勝利の意義を語る。
ただ、ケリー本人にとって、今のSR渋谷の結果はシーズン前から十分に予想していたもので、驚きは全くない。「シーズンが始まり、強豪相手に結果を残す前から上位にいける自信は持っていた。タレントは十分だし、激しい練習をしてよい準備ができた。自分たちが正しい道を歩んでいけることはわかっていたよ」
そして第4クォーターではSR渋谷が激しい守り合いの末に勝てたことへの手応えを語る。「第4クォーターは、泥試合になった感じだったね。ただ、守備でしっかり戦えていたし、こういう展開になっても勝つ方法を見つけないといけない。A東京はフィジカルなチームだけど、僕らもそれに負けないフィジカルを持っている。守備で正しいことをして勝てた」
また、伊佐勉ヘッドコーチは、「今日のチームとしての目標は昨日と同じく、40分間同じインテンシティでやれるかでした。そういった意味では2日間、80分間しっかり戦えたことは勝敗以上に大きな収穫」と総括する。
これでSR渋谷は、10月末に行われた川崎ブレイブサンダース戦に続き、難敵相手に連戦の初戦を落とした後、2戦目で雪辱を果たしたことになる。この連敗しない底力は、ここ数年のチームには見られなかったものだ。
その点について尋ねると、指揮官はこのようにチームの成長を語る。「2日間、自分たちのディフェンスをやりきれるメンタルはついているかと思います。それで川崎さん、A東京さんに勝てました。結果が出ているのは良いことですが、それ以上に選手がプレッシャー、ハードショウを2日間通してやめない。そのメンタルを僕は誇りに思っています」
「オフェンスで冷静にプレーできなかった」
一方、前日と違い最後までSR渋谷のプレッシャーディフェンスに自分たちのリズムをつかめなかったA東京の指揮官ルカ・パヴィチェビッチは、こう振り返る「残念ながら我々は渋谷さんの激しいディフェンスに対して自分たちのプレーができなかった。彼らは正しくハードに戦った。オフェンス、ディフェンスでも大事な場面でビッグプレーを遂行していた」
そして前日の20ターンオーバーに続き、この日も17ターンオーバーとミスが続いたことには、「大嫌いな光景です。相手のプレッシャーディフェンスに対し、我々のオフェンスが冷静にプレーできなかった。今後の試合に関しても今日の試合について学ぶことはありました」と大きな反省材料として言及している。
1勝1敗となった白熱の東京ダービーの第1ラウンドだが、早くも12月11日には平日開催で再び行われる。ここでもSR渋谷のプレッシャーディフェンスが再びターンオーバーを量産できるのか、A東京が今度はしっかり修正できるのか。これは中盤戦に向けたリーグの勢力図を占う上でも大きな注目の試合となる。