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渡邊雄太はシューティングガードで先発出場し、6得点2アシスト4リバウンドで勝利に貢献

『マーチ・マッドネス』(3月の狂気)と呼ばれ、全米を熱狂させているNCAAトーナメントは、ベスト4が出揃ってクライマックスを迎えている。その熱狂の裏側で、NCAAトーナメント出場を逃した32チームが招待されて争われるのがナショナル・インビテーション・トーナメント(NIT)だ。

NITは1938年にスタートした、歴史の長い大会。『日系二世のNBA』(五味幹男著/情報センター出版局)の主人公であるワッツ・ミサカ(三阪亙)もユタ大学の一員としてNITに出場し、1947年には優勝を経験している。

69年の時を経て、NITの舞台であるニックスの本拠地マディソン・スクウェア・ガーデンで、再び日本人選手が頂点に立った。多くのNBA選手を輩出するNCAAでは学校の規模などでランク分けされる中、最もレベルの高いディビジョン1(1部)に所属するジョージ・ワシントン大学。そこで先発出場し、活躍しているのが21歳の渡邊雄太だ。

ジョージ・ワシントン大学は準々決勝で全米大学2連覇(2006年、2007年)した強豪フロリダ大学を82-77で破り、準決勝では昨年のNCAAトーナメントの出場経験を持つサンディエゴ州立大学に65-46で快勝し、決勝へ勝ち進んだ。

3月31日に行われた決勝では、バルパライソ大学と対戦。序盤からリードを奪ったジョージ・ワシントン大学は76-60で勝利し、NIT初優勝を飾った。203cmの渡邊はシューティングガードでこの試合も先発出場。6得点2アシスト4リバウンド、さらに4つのブロックショットで勝利に貢献している。

高校2年と3年の時、冬の全国大会であるウインターカップでは2年連続準優勝。地域大会を除き優勝経験がなかった渡邊にとっては、大学1年のクリスマスシーズンにハワイで行われたダイヤモンド・クラシックというトーナメントが人生で初めてチャンピオンの称号を手にした大会だった。

今回はそれに続くタイトル獲得。アメリカに主戦場を移し、2年連続で優勝を経験したことは、こちらの水が合っているということではないだろうか。

目標とするNCAAトーナメント出場は叶わなかった悔しいシーズンではあったが、最後は笑顔で終えることができた。今年7月には、リオ五輪出場へ向けた世界最終予選に挑む日本代表候補メンバーにすでに名を連ねている。

「日本代表を強くしたい」と高い志を持って海を渡り、着実に実績を積んだ渡邊は、さらに大きくなってリオ五輪出場の原動力として期待される。