比江島慎

3ポイントシュートにドライブ、インパクト抜群の活躍

宇都宮ブレックスは前節、レバンガ北海道に連勝して今シーズンの勝ち星を10に乗せた。

この北海道との連戦、初戦は53-28と圧倒した前半だけで勝利を決定付ける大勝を収めたが、第2戦では相手が奮起。本来なら宇都宮の持ち味であるディフェンスとリバウンドで上回られて苦戦を強いられた。しかし、後半にファウルトラブルと疲労で相手の勢いが落ちた隙を見逃さず、第3クォーターを29-13と圧倒して84-70の逆転勝ちを収めている。

宇都宮が猛烈な追い上げを見せた時間帯、その主役を演じたのが比江島慎だ。第3クォーター途中、38-49と2桁のビハインドを背負った場面から、ジェフ・ギブスとの連携から1本、ライアン・ロシターのスクリーンを受けて1本と3ポイントシュートを決め、北海道のタイムアウトを挟んで自らのドライブからロシターの決定機を演出。さらに自らアタックしてファウルを誘い、フリースロー2本を決めた。

この時点でもまだビハインドは残っていたが、試合の流れは完全に宇都宮のものになっていた。苦しい状況の中で自らアクションを起こして試合展開を変えられる選手は多くない。特にBリーグではその部分を外国籍選手に頼る場合が多いが、比江島はさすがの存在感を見せた。

比江島自身も、大きな仕事ができたという充実感があったのだろう。逆転勝利を収めた試合後、「(安齋)竜三さんの誕生日だったので、前半の出来のままだったらヤバい、ディフェンスの強度を上げていかないとなって(笑)」とジョークも飛び出した。

比江島慎

「今シーズンで一番、やりたいプレーができた」

「前半は(マーキース)カミングスや(ケネディ)ミークスの守り方が徹底できておらず、好き放題にやられてしまった。ボールマンプレッシャーみたいな細かいところもできていなかった」と振り返る比江島は、後半に入る際にカミングスにプレッシャーをかけてリズムを狂わせることをまずは意識し、そこから良いオフェンスへと繋げようとした。

「個人としてはドライブを意識して、スペースは空いてたのでまずはシュートを狙って、ボールプッシュして」という積極性が結果に繋がった。15得点3アシストは、比江島からすると突出したスタッツではないが、この試合に関しては苦しい流れを断ち切り、チームを勢いに乗せるという点で大きな価値のあるものだった。

「今日に関しては今シーズンで一番、自分の仕事ができた、やりたいプレーができたと思います」と比江島も言う。「徐々に良くなっていると思います。昨シーズンから比べても、シーズンが始まってからも、ピック&ロールの使い方だったり視野を広く持って良い判断ができるようになっています。今日もミスがなく、確率良くシュートも決めて、ディフェンスの強度も高く保つことができました。まだまだ満足はしていないですけど、良くはなっています」

遠藤祐亮がケガで欠場したこの試合、「自分がやらなければ」という気持ちがあった。その結果としてオフェンスでもディフェンスでもチームを引っ張ったこの日のプレーを、安定して出せるようになりたいと比江島は言う。「これをスタンダードにできれば間違いなく成長に繋がると思うので、遠藤さんがいてもそれはやっていきたい」

宇都宮での2シーズン目を迎え、本当の意味で比江島はチームにフィットし、宇都宮のスタイルに合わせながらも自分らしさを削ぐことなく発揮できるようになってきた感がある。それでも本人は「まだまだ満足はしていない」わけで、もっともっとレベルアップしていくはずだ。