ケガではなくただの休養、5万ドルの罰金
NBAがカワイ・レナードの起用に関してクリッパーズに5万ドル(約550万円)の罰金を科した。
事の発端は現地6日のバックス戦をレナードが欠場したこと。クリッパーズは左膝のケガを理由とし、リーグに診断書も提出していた。ところが、ヘッドコーチのドック・リバースは正直すぎた。ケガの具合を質問するメディアに対して、レナードはケガではなく休養だと明言してしまったのだ。
バックスとクリッパーズの対戦は、レギュラーシーズンMVPのヤニス・アデトクンボとファイナルMVPのレナードという、昨シーズンの2人のMVPによる直接対決として大きな注目を集めていた。その期待は肩透かしを喰らった形となり、リーグの価値を維持するためにNBAはすぐに罰金処分を決めたのだろう。
ちなみに今シーズンのレナードが欠場したのはジャズ戦とバックス戦の2試合。いずれも2日連続で試合が続く『バック・トゥ・バック』の1試合だった。だが、レナードにとって連戦のどちらかを欠場するのは以前からのルーティーンとも呼ぶべきものである。
スパーズ時代、2016-17シーズンのプレーオフで左足首を痛めたレナードは、そこからケガが続いてほとんどプレーできず。回復状況を巡ってスパーズとの関係にヒビが入ったことが退団を招いたと言われている。ラプターズに移籍した昨シーズンは完全復活のパフォーマンスでチームを優勝に導いた。特にプレーオフでは混戦に決着をつけるスーパープレーを何度も見せて、ファイナルMVPにも輝いている。
もっとも、ラプターズでも連戦となれば休養することが多く、レギュラーシーズンでは82試合のうち60試合にしか出場していない。こうして長いシーズンを通してコンディションを調整した結果、レナードはケガの不安なく全力のプレーができ、チームも優勝できたとも言える。
古傷を抱えるレナードに限らず、どの選手もキャリアを棒に振りかねない大ケガのリスクは避けたいもの。特に近年は、NBAのトップスター選手の半数近くが入れ替わり立ち替わりで長期欠場している状況だ。選手からすれば「シーズン82試合は多すぎる」という不安はあるに違いない。
そんな状況に対してリーグが高圧的にクラブに罰金を科し、選手をコートに立たせることは反発を招きかねない。単なる欠場と罰金では済まない、NBAが抱える根の深い問題である。