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生き残るための『危機感』がマギーを変えた!?

ウォリアーズは昨シーズンの優勝メンバーを慰留するのに最大限の努力をし、成功させた。今夏にフリーエージェントになった選手の中で、一番最後に再契約を結んだのがセンターのジャベール・マギーだった。

ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、アンドレ・イグダーラ、ショーン・リビングストンとの契約がスムーズにまとまり、新戦力ニック・ヤング、オムリ・カスピというシューターも獲得する状況を見て、マギーは自身の去就について不安に思っていたかもしれない。それでもフリーエージェント選手との交渉解禁から1カ月後の8月1日、ようやくウォリアーズはマギーとの再契約を発表した。

マギーといえば、213cm122kgの体躯を生かした豪快なブロックショット、インサイドのディフェンスという印象が強い。バスケットボールIQは決して高いとは言えず、たびたび珍プレーを披露しシャキール・オニールにネタにされていたが、スモールラインナップを武器とするウォリアーズにおける別のオプションとして、優勝に貢献したことは間違いない。

最後の最後に契約を手にしたマギーは、新たな武器を得るためトレーニングに励む動画をTwitterに投稿した。

なんと、キャリア9年でわずか1本しか成功させていない3ポイントシュートの練習に力を入れている。投稿された動画では、右コーナーから3ポイントシュートを5本連投し、すべて成功させた。ボールを受けてからリリースし、フォロースルーまでスムーズな一連の動きを見る限り、これは相当に時間を割いて練習していることがうかがえる。

優勝メンバーである自分より先に、ウォリアーズがヤングやカスピというシューターと契約したことで「このチームではシュートが打てないとやっていけない」という危機感を持ったのだろうか。いずれにしても、マギーが『ストレッチ4』ならず『ストレッチ5』へと覚醒すれば、ウォリアーズは四方八方からロングレンジを支配する、まさに現代型の最強チームになる。

現在のロスターには、カリーとクレイ・トンプソンの『スプラッシュブラザーズ』、デュラント、デイビッド・ウェスト、イグダーラ、ドレイモンド・グリーン、ヤング、カスピというシューターが揃っている。デュラントが加わっての1年目だった昨シーズンは、前半にカリーが本来のリズムでプレーできなかったため年間の3ポイントシュート成功数がリーグ4位の982本へと落ちたが、本来なら1000本は軽く超えられるチームだ。

もしマギーがアウトサイドシューターに変貌を遂げられれば、相手チームのビッグマンをペイント外におびき出すことも可能になる。つまりカリー、トンプソン、デュラントらの仕事もやりやすくなる、ということだ。

トレーニングキャンプ、プレシーズンを通じてマギーの3ポイントシュート試投数が増えるのかどうかで、今シーズンのウォリアーズが見えてくるかもしれない。もしマギーが年間30本以上の3ポイントシュートを決められるようになれば、『スーパーチーム』は意外な形でさらに進化することになる。