ファジーカスとデービスのデュオが強さを発揮
アーリーカップ『関東』地区の3位決定戦は川崎ブレイブサンダースと栃木ブレックス、Bリーグ初年度ファイナルの顔合わせとなった。同点11回、リードチェンジ7回の接戦を制したのは、勝負どころの選手起用がハマった川崎だった。
川崎は「1-2-1-2」、栃木は「2-1-1-2」とオン・ザ・コート数に差が生まれた。川崎はオン・ザ・コート「2」の第2クォーターもジュフ・バンバを試していたが、残り4分を切ったところで田臥勇太のプッシュからライアン・ロシターの速攻を許し、27-38と2桁のリードを奪われると、満を持してニック・ファジーカスとジョシュ・デービスを同時起用。これでインサイドに優位を作って反撃し、11-0のランで同点に追い付いて前半を終えた。
「第2クォーターに10点離された時間帯があったんですけど、我慢してそこをイーブンで折り返せたことが収穫」と北卓也ヘッドコーチが振り返る試合の分岐点だった。ハーフタイムを挟んでの第3クォーターは一進一退の展開となり、川崎が1点をリードし最終クォーターへ。
野本の好調、デービスのビッグプレーが勝利を引き寄せる
前日は千葉ジェッツに良いところなく大敗を喫した栃木だが、この試合では本来のファイティングスピリットが見られた。セドリック・ボーズマン、竹内公輔がインサイドで粘りを見せ、効果的に得点を挙げていく。それでも均衡を破って勝利を引き寄せたのは川崎であり、その要因となったのは偶然の産物である『ビッグラインナップ』だった。
ファジーカス、デービス、野本建吾の2メートルトリオ。そして長谷川技が2番という布陣。北卓也ヘッドコーチは「プレイングタイムをコントロールしながらやってメンバーがいなく、最後はそういう形になりました」と偶然の産物であったことを明かした。
ポイントとなったのは野本だ。「良かったですから引っ張りました」と北ヘッドコーチが語る野本が積極的にボールを呼び込んでミスマッチを突き、インサイドで優位を作り出す。こうして75-69で迎えた残り1分、デービスがライアン・ロシターのシュートをブロックし、そのまま速攻を決めて栃木を突き放す。勝利を決定付けるビッグプレーの後、栃木の反撃をかわして最終スコア79-71で勝利した。
敗れた栃木も、前日に比べてパフォーマンスは大きく向上。開幕に向けたチーム作りが前進していることを示した。前日に機能しなかったボーズマンがオフェンスを牽引して19得点を挙げたのは大きな収穫だ。長谷川健志ヘッドコーチはこう大会を振り返った。「ここから先、60ゲームを戦うにはここを底上げしていかないといけない。目的意識を持ってこのチームにつなげるかっていうのを明確にしたかったので、いい2日間になったと思います」
課題と収穫に溢れた『アーリーカップ』を終えた両チーム、4週間後に迫った開幕に向け標準を合わせる。