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「以前と変わらない選手の状態で復帰する」

妹を亡くしてまでもセルティックスのために戦ったアイザイア・トーマスをもってしても、プレーオフの正念場でプレーを断念させた股関節のケガ。カイリー・アービングとのトレードが発表された後、キャバリアーズがトーマスのメディカルチェックの結果に懸念を持ったことで、この問題が再びクローズアップされることになった。

結局はセルティックスが2020年のドラフト2巡目指名権をキャバリアーズに追加で譲渡することでトレードは正式決定したのだが、その前日にトーマスは『ESPN』の取材に応じ、股関節の状態について問題がないことを強調していた。

「すぐに復帰はできないかもしれないけれど、必ず戻る。以前と変わらない選手の状態で復帰する。復帰に関して、これと異なる意見を言った医師はいない」

トレードがどう決着するにせよ、今回の報道で『故障持ち』というレッテルを貼られてしまうのは彼にとって看過できない問題だ。今シーズンが契約最終年で、フリーエージェントになる来夏に影響が出る恐れがあるからだ。

今回のトレードが決まるまで、トーマス自身はセルティックスに忠誠を誓っており、来夏にマックス契約を勝ち取るために2017-18シーズンを全力で戦うつもりでいたのだが、状況はもう変わっている。

今回の騒動は『ケガ持ち』のレッテルを貼られる結果に

昨シーズンに平均28.9点というスコアラーぶりを見せたトーマスとの契約に関心を持つチームはいくらでも出てくるとしても、コンディションに不安があると見られては本人が希望する条件とチームが考える『適正価格』に差が生じてしまう。トーマスはプロフェッショナルとして自分の評価を保つために、自身の状態について医師の所見を交えてはっきりと主張しているのだ。

「医師からは、『ハイレベルでプレーしてきた選手たちで、自分よりも状態が悪い股関節を抱えた選手たちを見てきたけれど、彼らは素晴らしいキャリアを送った』と言われている」とトーマスは話した。

今回、キャバリアーズはトーマスのコンディションに『ケチをつけた』ことで指名権を追加で得ることができた。ただ、その代償としてトーマスの心象は悪くしたはず。強いメンタルを持つトーマスだけに、宣言どおりに「以前と変わらない状態で」復帰するだろうが、セルティックスでそうだったようなチームへの絶対的忠誠は求められないかもしれない。