「北さんに『バテすぎ』って言われました」
川崎ブレイブサンダースは昨日、関東大学リーグ1部に所属する大東文化大学と練習試合を行った。ニック・ファジーカスはチームに合流してからまだ2日目。それでも辻直人との息はピッタリと合い、ピック&ロールから得点を量産していった。
だが試合が進むにつれ、辻に疲労の色が見え始める。肩で息をして、ベンチに戻った際にはふくらはぎのマッサージを受けていた。シーズン中にそのような姿を見るのは珍しかっただけに、コンディション不良かと思ったが、実際はハードなトレーニングからくる疲労の蓄積だった。
「結構ハードに追い込めています。昨日もチームはオフだったんですけど、アンダーアーマーのトレーニングに行って、開幕に向け筋力アップもやって、良い感じにきています」と辻は笑顔で話した。
「走り込みのメニューやウエイトもやっていて、成果が出てきました。おしりもプリプリになってきてます」
昨日はアーリーカップの会見に出席し、その直後に練習試合というタイトなスケジュール。それでも「北(ヘッドコーチ)さんにも『バテすぎ』って言われました」と笑顔で話す表情からはオフの充実具合がうかがえた。
昨シーズンは腰痛に泣き、試合を欠場することもしばしば。コンディション管理の大切さと難しさを痛感して取り組んだ『ケガをしにくい身体作り』をこう説明する。「自分の身体を見直し、そこから鍛え直したというのが今までと一番違うところです。お腹に力を入れる入れ方を教わったりして、腰痛も出てこなくなっています」
毎年そうだが、特に昨年の夏は代表活動と新リーグの準備で全く余裕がなかった辻。今年は一転して自分と向き合う時間ができた。「オフシーズンがここまで充実してると思うのは久々です。長いシーズンを戦える良い準備ができていると思います」と開幕に向け順調な調整状態のようだ。
「見返したい」と再起に自信
昨シーズンの川崎はレギュラーシーズンをリーグ最高勝率で終え、チャンピオンシップファイナルに進出。ファイナルでは栃木ブレックスに惜敗したが、Bリーグ初年度を準優勝という成績で終えた。
しかし、チームの好成績とは対照的に辻からは「苦しかった」との言葉がこぼれた。
「期待されてるのは分かっていたし、苦しかったですね。自分のパフォーマンスができない苦しさもあったり、結果がついてこなかったり。ファイナルも第1クォーターしか活躍できず。求められているものはもっと上にあるので、そういった意味では苦いシーズンでした」
平均10.8得点、3ポイントシュートの成功率が37.6%、フリースローの成功率が75.8%、これらは決して低い数字ではない。それでも得点とフリースロー成功率は自己ワースト。もっとやれるという確信があった辻にとって、満足できるものではなかった。
「だから見返したいという気持ちが強いです。『こんなもんじゃないんやぞ』っていうところを見せたいですね」と来シーズンへの飛躍を誓い、「3ポイントは40%以上、フリースローも85%くらいは決めたいです」と具体的な目標を掲げた。
川崎は地区の編成が変わり激戦区の東地区へと移った。それでも充実のオフを過ごす辻は自信をみなぎらせる。「チャンピオンシップは大前提です。ファイナルに出て優勝することだけを考えています」
「期待してください。ブレイク・ザ・ボーダーです」と、辻らしい謎めいた発言で締めた辻。Bリーグの主役となる準備はもうできている。
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