伊佐コーチも絶賛「1人で3人くらい守れる脚力」
サンロッカーズ渋谷は千葉ジェッツとの開幕戦に88-80で勝利した。
チームでハードなディフェンスを40分間遂行したことが勝因となったが、20得点16リバウンド(うちオフェンスリバウンド7)4ブロックという圧巻のスタッツを残したセバスチャン・サイズがもたらした影響は計り知れない。
ディフェンスに定評のある関野剛平が、富樫勇樹に対し前線からプレッシャーをかけ続けたことで、千葉の得意とするトランジションを防いだ。だが、これに関してもセバスチャンが一役買っていた。千葉の大野篤史ヘッドコーチは試合後このように語っている。「バックコートのディフェンスに対して、ポイントガードのところだけで潰すのではなく、ビッグマンもプレッシャーをかけていた。関野君が富樫についていましたけど、そこをセバスチャンがすごく助けていた。勇樹のペースを落とさせた一つの要因だと思っています」
本戦には出場できなかったが、セバスチャンはワールドカップ優勝を果たしたスペイン代表として、予選12試合に出場し、平均6.7得点、5.8リバウンドを記録している。国際経験も豊かなセバスチャンは、ユーロリーグで得た経験が生きていると言う。「カットしてきたりドライブしてきたり、その中で誰がどうローテーションするのか、どうスイッチすればいいのかはユーロリーグで叩き込まれてきた」
セバスチャンはガードのマークマンとスイッチしても簡単には抜かれない、205cmとは思えないフットワークの持ち主だ。SR渋谷の指揮を執る伊佐勉も「スクリーンのディフェンスからリング下に戻って、1人で3人くらい守れる脚力があって、とても素晴らしい」と、この軽快なフットワークを絶賛している。
「チームが勝つためだったら自分は何でもやる」
SR渋谷は元NBAプレーヤーのロバート・サクレを中心としたチームだったが、そのサクレが今オフに突然の引退を表明した。そのため、「昨シーズンは大黒柱のサクレがいて、ドシっと構えてやっていましたけど、彼が引退をした時にバスケットを変えなきゃいけないと思った」と伊佐ヘッドコーチは言う。
そこで白羽の矢が立ったのがセバスチャンだった。セバスチャンも「チームからオファーがあった時に大事なピースを失ったという話を聞いた」と言い、自分に求められるものの大きさを理解していた。見事その期待に応え、開幕戦でチームを勝利に導いた。圧巻のスタッツを残しながらも、「開幕まで1カ月半の間、チーム全体で準備をしてきた結果」と、フォアザチームの精神を貫いた。
205cmの身長に対し、ウイングスパンは脅威の228cm。セバスチャンはこの腕の長さを生かしたプレーと、チームプレーを見てほしいとファンに向けて語った。
「ブロックもそうだし、リバウンドが強み。特に終盤のリバウンドは大きな意味を持つので、そういう局面で一つひとつのボールを大切にしてチームに貢献したい。あとはチームが勝つためだったら自分は何でもやる。そこが一番の強さだと思っているよ」
サクレ引退という波乱の幕開けとなったSR渋谷の新シーズンだが、開幕戦で千葉から勝利することができた。圧倒的な個人能力を持ちながらチームプレーを大切にするSR渋谷の救世主、セバスチャンのパフォーマンスにこれからも注目したい。
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