マブンガの存在に「シューターとしてはやりやすい」
京都ハンナリーズは、大会3年目にして初出場となったアーリーカップ関西において見事に優勝を飾った。その立役者となったのが『KJ』こと松井啓十郎で、73-61で制した決勝の琉球ゴールデンキングス戦では3ポイントシュート6本成功を含む21得点をマークした。
これまで松井は、JBL、NBL時代のトヨタ自動車(アルバルク東京)など複数のチームで試合の流れを変えられる貴重なシューターとして活躍してきた。しかし、過去2シーズン在籍したシーホース三河では出場機会に恵まれず。特に昨シーズンは1試合平均で約8分出場、2.8得点とキャリアワーストと言える成績だった。
当然、新天地となった京都で復活に懸ける思いは強い。「この2年、あんまりプレーをしていなかった。そういう意味でも今日みたいな試合で、チームの信頼をまず勝ち取る。KJはちゃんとシュートを決めてくれる人なんだな、と知ってもらうことが大事です」
今シーズンの京都は、アーリーカップでジュリアン・マブンガ、デイヴィッド・サイモン、永吉佑也のビッグマン3人を先発起用するなど、サイズが一つの武器となる。ゴール下にしっかりとした起点があれば、シューターはプレーしやすいもの。それは松井も感じており、中でもマブンガのパスセンスをこう評する。
「マブンガはセルフィッシュな選手ではなく、昨シーズンもアシスト王を取っています。相手を引き付けてパスをできる能力がすごく高いので、そういう選手がいるとシューターとしてはやりやすい。相手チームもどこを抑えるべきかと、困ってくると思います」
「プレータイムを確保してもらえれば結果を出せる」
ポイントガードにも190cmの中村太地がおり、中村、松井、マブンガ、永吉、サイモンとアーリーカップで起用した先発5人はリーグ屈指の大型ラインアップだ。その特徴を生かし、例えば琉球戦では、サイズと機動力を備えたマブンガが相手ポイントガードの並里成にマッチアップするなど、守備でもミスマッチを作り出せる。
松井も「それが強みだと思いますね」とディフェンス面の手応えを語る。「太地が190cmあって、マブンガは今日も並里につくと自分から言ってきました。そういうところで、どこかしら必ずミスマッチは起きます。現代バスケは3ポイントシュートがすごく主流ですが、そこでドライブをさせると永吉だったりサイモンがゴール下にいるので、相手にタフなシュートを打たせることができる。今日もそういう場面が何回かあったので、そこを突き詰めていきたいです」
冒頭で触れたが、30代に入ってプレータイムが徐々に減っていけば、キャリアの危機を感じてもおかしくないもの。だが、松井にそのプレッシャーはない。
「ちゃんとプレータイムを確保してもらえれば結果を出せる選手であることは、自分で分かっています。新しいチームに来てプレッシャーもありますけど、まだトップでやれる自信の方があります。まだまだやれると感じています」
京都にとって、サイズは間違いなく大きなアドバンテージだ。その威力をより高めるためには効果的な外角シュートが必要であり、松井の果たす役割も大きい。彼が健在ぶりを示せるかは、京都の今シーズンの行方にも大きな影響を及ぼしてくるはずだ。