文=丸山素行 写真=鈴木栄一

フリオ・ラマスが求めるバスケットを体現して快勝

ウルグアイを招いての国際強化試合の第2戦、初戦は69-79で落とした日本だが、昨日の第2戦では新ヘッドコーチのフリオ・ラマスが求めるバスケットを体現し、72-57で快勝した。

先発メンバーは富樫勇樹、比江島慎、太田敦也、小野龍猛、アイラ・ブラウン。第1戦では0-11と最悪の出だしだったのを修正し、序盤からアグレッシブさを見せる。アイラの3ポイントシュートで先制すると、第1戦では出番のなかった小野のドライブから、比江島がインサイドで合わせてバスケット・カウントを獲得。第1戦では停滞していたオフェンスは明らかに向上した。

ただ、オフェンスの内容は良くなったが、ノーマークのシュートを決めきれない場面が続き、さらには相手の肘が顔面に入り、まぶたを切り出血した比江島が交代を強いられ推進力を欠く。その間にウルグアイに高確率でシュートを決められ、第1クォーターを16-17で終えた。

それでもセカンドユニットとなった第2クォーターも日本はアグレッシブさを保ち主導権を握る。皆がリングへのアタックとパッシングの高い意識を持ち、ウルグアイディフェンスを攻略した。篠山竜青のドライブから田中大貴が合わせ、張本天傑のチップアウトから田中が3ポイントシュートを沈め、21-17とリードを奪う。ディフェンスでもエステバン・バチスタにはダブルチームで対応し、インサイドで自由を与えない。素早いディフェンスローテーションで粘り強く、プレッシャーを与えた。

サイズに勝るウルグアイの強引な攻めにも対応

35-31とリードして始まった後半も日本はペースを落とさず、堅守とドライブが噛み合う。第3クォーターには流血の治療を終えた比江島が復活。緩やかなドライブから独特なステップでのレイアップ、富樫がディフェンスを引き付けての3ポイントシュートを沈め45-36とリードを広げた。守備でも前日には好き勝手にやられたインサイドを締め、ボールマンへもプレッシャーをかけ続ける。自由に攻められない展開にウルグアイはストレスを感じ、ターンオーバーを重ねた。

9点のリードを保ち最終クォーターを迎えた日本。最初のディフェンスで古川孝敏がアグレッシブにボールを弾き、それを拾った比江島のワンマン速攻で点差を2桁に乗せた。その後、集中力を切らしたウルグアイのシュートはリングに弾かれ続け、球際でも日本が強さを発揮。ルーズボールを奪った張本が加点し、古川の3ポイントシュートが決まり点差は20点に。

残り2分には篠山と富樫のツーガードを試す余裕を見せた。前日の課題を修正し、リングへのアタックとディフェンスを強めた日本が第2戦を制した。

比江島「ボールを保持せずにアタックすることを意識」

比江島はまぶたを切るアクシデントに見舞われながらもゲームハイの16得点を記録。試合をこう振り返る。「昨日の課題点を修正でき、最初からディフェンスを激しくできましたし、自分自身もペイントエリア内にしっかりドライブすることができました。今日はラマスヘッドコーチが求めるバスケットを少しはできたと思いますので、自信につなげて今後もやっていきたいです」

第2戦での改善点については「ピック&ロールの対応でハードに来る選手と来ない選手が昨日で分かった」ことがポイントだと比江島は言う。「それを見分けながら、ハードに来ない選手はリングまでアタックするし、パッシングの中でもズレを作りながら、ボールを保持せずにアタックすることは意識していました」。2試合で29得点、新体制となった代表でも『日本のエース』であることを示すパフォーマンスだった。

フリオ・ラマスは、2日間でたくさんの観客を集めた青学記念館の盛り上がりを見て「良い雰囲気で応援してくれる方々がたくさんいると感じて、自分のコーチとしての責任が重大であることを感じました。アジアカップに向けて期待に応えられるよう頑張っていきたい」と語る。また選手に対しては「ウルグアイという強豪を相手に第1戦で負けてしまったが、気持ちを切り替えて姿勢を保って戦ってくれた選手には感謝している」と話した。

この2試合を戦って、日本が目指すべきスタイルについて「ヒントは見つけた」とラマスは言う。「試合数が足りていないので経験を積む必要はあって、10試合はやらないとスタイルを完成させることはできない。まだまだ先は長いですが、選手の姿勢と理解力、この2つが日本のスタイルを探すために重要な要素となります」

8月8日のアジアカップ開幕まであとわずか。新体制がようやくスタートしたことで選手たちの士気は高い。今夏は女子日本代表がアジアカップ3連覇を果たしたし、U-19も男女のチームが『快挙』と呼ぶべき結果を残している。『大トリ』で登場する男子A代表にもまた、世界を驚かせる戦いぶりを期待したい。