終始リードを許すも、終盤にガソルが奮起し延長に持ち込む
バスケワールドカップ、準々決勝でポーランドを下したスペインと、同じくチェコを破ったオーストラリアが決勝進出を巡り激突した。
リッキー・ルビオの3ポイントシュートで先制し、さらにスティールから速攻を演出するなど、スペインが抜け出すかに思われたが、オーストラリアもパティ・ミルズを中心としたオフェンスを軸にマシュー・デラベドバの3ポイントシュートで逆転するなど、主導権を与えない。
強度の高い守り合いを繰り広げ、その中でタフショットを決め合う。だが、苦しい時間帯が続いたのはスペインだった。オフェンスでは崩した後のノーマークの3ポイントシュートを決められない。ディフェンスでは相手のキーマンであるミルズを徹底的にマークするボックスワンが機能したが、ゾーンへのチェンジングが機能せずに何度もイージーシュートを許してしまった。
前半を5点ビハインドで折り返したスペインは、後半も追いかける展開が続く。ドライブをケアして弾いたボールが直接リングに吸い込まれてしまう不運な失点もあり、第3クォーター残り5分を切ったところで11点のビハインドを背負った。
それでも、球際で負けず、ディフェンスの集中を切らさず食らいついていき、どうにか4点差まで追い上げると、第4クォーターに入って反撃を開始する。その中心となったマルク・ガソルはピック&ポップからの3ポイントシュートやペイントエリアでのフェイダウェイシュートなどを沈め7連続得点を挙げると、自分にマークを引き付けて味方のゴールも好アシスト。残り8秒、ガソルがリバウンド争いからファウルを誘って得た2本のフリースローを沈めて71-70と逆転。試合はオーバータイムへと突入した。
再延長で光ったルビオのゲームメーク
延長に入っても両チームともにプレーの強度が落ちず、集中も途切れない。ガソルが3ポイントシュートを沈めてスペインが抜け出せば、オーストラリアもミルズがすぐさま決め返すなど、一進一退の攻防が最後まで続き、勝負は2度目の延長へと持ち越された。
スコアが示すように、互角の展開が続いたが、最後に勝負を分けたのはスペインのポイントガード、ルビオのゲームメークだった。オーストラリアはデラベドバとミルズを同時に起用してルビオにプレッシャーを掛けるが、ルビオはスクリーンでマークマンを引きはがすとデラベドバとミルズがビッグマンとのミスマッチになった瞬間を見逃さずにパスを送り、イージーシュートを連続で演出した。
こうなるとオーストラリアは気力も体力も限界に近づく。3ポイントシュートがエアボールになるなど、外角のシュートの精度を欠いた。
老獪なチームバスケットが蘇り、精神的に優位に立ったスペインは、残り2分、エクストラパスから3ポイントシュートを射抜いてリードを8点に拡大。そのままリードを保ち、最終スコア95-88で熱戦に終止符を打った。
スペインはガソルがチームハイの32得点を挙げ、ルビオが19得点12アシストと実力を存分に発揮。オーストラリアではミルズがゲームハイの34得点、デラベドバが9アシストを記録するも、ガードの2人が合計13のターンオーバーを犯したことが悔やまれる。
決勝に駒を進めたスペインは、フランスとアルゼンチンの勝者と決勝を戦う。