折茂武彦

レバンガ北海道の選手兼代表を務める折茂武彦は5月に49歳となった。広告塔ではなく純粋な戦力としてローテーションを守り、昨シーズンは1試合平均16分半のプレータイムを得て、380もの得点を積み上げた。国内トップリーグ日本人選手として初の通算1万得点も達成している。それでも昨シーズンはチームが低迷。レギュラーシーズン23勝、26勝と来ていた勝ち星が10勝に激減して、残留プレーオフに回ることになった。「自分にとって屈辱的なシーズン。このままでは終われない」と折茂は現役続行を宣言。愛するレバンガ北海道を20年先、30年先も存続していけるクラブにするまで、その挑戦は続く。

「レバンガで10年、今が一番話すチーム」

──昨シーズンは開幕直前に震災、ヘッドコーチの交代があって、チームの成績もなかなか上向かない苦しいシーズンでした。再スタートにあたり、何を変えていくつもりですか?

チームにとっても個人にとっても、どん底のシーズンを経験してしまったので、当然クラブもチームも変わらなきゃいけないと思っています。それは残った選手もそうだし、もちろん僕個人もそうです。すべてのことを一掃して変えていく。レバンガ北海道というチームは、今までだってチャンピオンシップに行く常連ではありませんでした。それをどこかで変えなきゃならない。それはこのタイミングだと思っています。

──どういう個性を持ったチームへとしていくべきでしょうか。

チームスポーツなので、最後はチームの団結力とかそういうものが大事になります。合宿をやっていて思うのは、非常にコミュニケーションを多く取るようになったのが変化です。お互いが何を考えているのか、何をしたいのか、どういうことを求めているのか。それを知ることがチームのセンスに繋がります。僕はレバンガで10年間プレーしていますが、そういった意味では今が一番話すチームなのかなと。

僕は前チームにいた時には優勝経験もありますが、優勝するチームはそういったところがすごくしっかりしています。それに近い雰囲気になってきていると感じるし、始まったばかりの一つの出来事ですが、変化は起きています。もっと変化しなきゃいけないし、多くのことを変えなきゃいけないので、まだまだやることは多いのですが、第一段階としては変わってきている印象がすごくあります。

折茂武彦

「バランスの取れたチームにようやくなってきた」

──チームを変化させる意味でも、新加入選手が新しい何かを持ち込むことに期待したいですね。橋本竜馬選手を筆頭に、新戦力にはどんな期待をしていますか?

橋本選手が入ったことによって雰囲気がガラッと変わりました。彼は本当によくしゃべる。すごくコミュニケーションを取ろうとして、一人ひとりを知ろうと努力しています。今これをやらなければいけないと、彼は理解しているんです。ようやくああいう選手がウチに来てくれた、という思いがあります。チームが変わるきっかけになってくれている選手ですね。

ウチはこれまでリバウンドがずっと厳しかった。バスケットはリバウンドが勝負だと言われますが、そこに課題を抱えていました。それでも今シーズンはケネディ・ミークス選手とファイ・パプ月瑠選手が入って、市岡ショーン選手もいます。マーキース・カミングス選手も3番で、外国籍選手が3人いますから、リバウンドは非常に強くなると期待しています。

彼らに任せてしまうのではなく、全員でリバウンドを徹底することがまず第一。あとはそこからいかに速い展開に持っていけるか。昨シーズンは失点も多かったですけど、なにしろ平均得点が低かったので(1試合平均71点)、そこを上げていかなければいけない。

そんな中で、得点を取れる選手がいて、割って入って行ける選手がいて、外から打てる選手もいる。そういったバランスの取れたチームにようやくなってきたと感じます。だからこそ、この時期にコミュニケーションを取っていきたい。全員が同じ方向に向かっていければ、負けるにしても簡単には負けない、という印象を対戦相手に与えられます。その積み重ねがシーズンを通してモノを言うと思います。

折茂武彦

積極補強で選手層を強化、激戦の東地区に挑む

昨シーズンは開幕前に北海道を地震が襲い、またヘッドコーチのジョゼ・ネトが開幕わずか2カ月でチームを去ることに。チーム作りの当初で遅れが出たことが大きく響き、攻守の要であるマーク・トラソリーニ、好アシストを連発した松島良豪のケガもシーズンを難しいものにした。今オフは選手層の強化に乗り出し、百戦錬磨のポイントガード橋本竜馬を獲得。また実力はあったが週末の連戦をこなすスタミナに難のあったデイビッド・ドブラスから、マーキース・カミングスとケネディ・ミークスへと走れる外国籍選手と契約した。帰化選手のファイ・パプ月瑠も加わり、インサイドは大幅に厚みを増したことになる。優勝候補がひしめく地区で生き残るため、北海道だけでなくどのチームも意欲的な補強を行っているため苦しい戦いが予想されるが、できる限りの準備は整えた。あとは折茂の言う「チームの団結力」が問われる。開幕戦は10月6日、昨シーズンの最後に残留プレーオフで死闘を演じた横浜ビー・コルセアーズと再び激突する。

レバンガ北海道 2019-20シーズン 登録選手一覧

0 橋本竜馬(PG 178cm81kg)
1 ケネディ・ミークス(PF・C 208cm110kg/外国籍)
2 マーキース・カミングス(SF・PF 198cm108kg/外国籍)
6 ファイ・パプ月瑠(PF・C 200cm101kg/帰化)
7 中野司(SG 185cm84kg)
8 多嶋朝飛(PG 173cm75kg)
9 折茂武彦(SG 190cm77kg)
10 市岡ショーン(PF 198cm96kg)
11 桜井良太(SF 194cm89kg)
15 マーク・トラソリーニ(PF・C 206cm109kg/外国籍)
16 内田旦人(PG・SG 182cm85kg)
17 川邉亮平(SF 188cm90kg)
32 松島良豪(PG 185cm78kg)