渡邊雄太は帰国翌日にアメリカへ向け出発「勝負の年、本契約を必ず勝ち取りたい」

2019/09/11
日本代表
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渡邊雄太

「こんなに濃い夏を過ごせることはなかなかありません」

ワールドカップを終えて昨日の夜に日本に戻って来た渡邊雄太は、今日午後、早くもアメリカに向けて出発した。

「正直に言えば心身ともに疲れていますが、今帰って時差調整しながら休んだほうがいいので」と渡邊は少しだけ苦笑いするが、疲労よりもこの先のワクワクが勝っていると言う。

「新しいチャレンジができることをすごく楽しみにしていますし、ワールドカップが終わってすぐですが休んでいる暇はなくて、すぐにでも行ってトレーニングを始めたい。今は2ウェイ契約なので、今シーズンが勝負の年。本契約を必ず勝ち取りたい」と、その意欲は全く衰えない。

「今回のワールドカップ、自分自身では満足していないし、もっとやらなきゃいけなかったとは思いますが、自信を失ったわけではないです。本当に良い経験ができました。夏はバスケのシーズンじゃないので、こんなに濃い夏を過ごせることはなかなかありません。ワールドカップは悔しかったですけど、あらためて考えると楽しい夏でした」

日本代表での挑戦は一区切りで、NBAの過酷なシーズンに向けた準備に入るが、気持ちの一部分は常に日本代表に置くようだ。どの選手もワールドカップの教訓を次に生かすため、日々それぞれのレベルアップに取り組むことになる。それは渡邊も同じだ。

「僕はありがたいことに世界最高峰のNBAという舞台でやれるので、日常の環境を世界基準に置くことができます。その中でも気持ちの持ち方であったり、今回は日本を背負うという部分で新たなプレッシャーを感じたので。今回メンフィス・グリズリーズとメンフィス・ハッスルに所属するんですけど、今回のこの気持ちを忘れずにプレーして、また来年のオリンピックでは日の丸を背負ってやっていきたい」

「出れないのは自分の実力、モヤモヤしても仕方ない」

NBAのグリズリーズとGリーグのハッスル。2ウェイ契約の渡邊は2つのリーグ、2つのチームを行き来しながら評価を勝ち取らなければならない。昨シーズンも後半戦になるとハッスルには完全にフィットし、主力としてのパフォーマンスを安定して見せてきた。ただ、グリズリーズに呼ばれると2番手ないしは3番手の立ち位置で、プレータイムは保証されない。Gリーグでの活躍がNBAでの評価に直結しないのが、渡邊にとっては苦しいところだ。

「当然、ベンチにいる時に出たいという気持ちは強いんですけど、出れないのは自分の実力ですし、そこに対してモヤモヤしても仕方ない。とにかくコートに出た時にアピールできるだけアピールしようと思いながら試合を見ていました」と渡邊は昨シーズンを振り返る。

今シーズン、本契約を勝ち取るためには、この状況を打開しなければならない。「自分が成長してコーチたちに認められる以外に方法はないです」と渡邊は言う。

「GリーグとNBAでは、力はかけ離れていますし、Gリーグで結果を出した選手が必ずしもNBAで結果を出せるわけではないので。そこはコートに立って証明する以外に方法はありません。もしかしたら最初は短いチャンスしかもらえないかもしれないですけど、モンテネグロ戦のように1秒1秒に自分のできるすべてを出し切る気持ちを持ってプレーしたいと思います」

「34得点とか9リバウンドより、100%出し切ったこと」

そういう意味で、苦しかったワールドカップの最後の試合で、チームの勝利には至らずとも個人として結果を出せたことが、NBAでのシーズンを戦う上で意味のあるものになるかもしれない。このモンテネグロ戦の『爆発』を渡邊はこう評価する。

「今回は自分がやらなきゃいけない状況だったので点を取りに行きましたが、自分は点を取る選手ではないと思っています。今回のモンテネグロ戦で良かったのは、チームも自分もしんどい状況で、100%出し切ったと試合後に言いきれたことです。34得点とか9リバウンドより、そこを自分で褒めたい部分。それが毎試合できるようにならなきゃいけない」

プロバスケ選手の評価は相対的なもので、プレータイムがどれだけもらえるかは本人の実力以上にチーム事情や試合展開次第であることも多い。伸び盛りの渡邊は場数をこなすごとに自信をつけており、それでも思うようなチャンスが得られない状況は理不尽にも感じられるが、彼自身は腐ることなく実力を示すことだけに集中している。渡邊雄太ができなかったら誰ができるのか。どんな苦境も跳ね返す渡邊の意志は、この夏の経験でさらに強いものになった。是非とも本契約を勝ち取り、NBAで確かな成功を収めてもらいたい。