東海大学付属相模(神奈川県)はウインターカップの県予選準決勝で敗れました。昨年は6年ぶりに出場したウインターカップで1勝を挙げ、今年のインターハイでは3回戦進出と全国の舞台でステップアップしてきただけに、県予選での敗退は大きなショックでした。

10月10日(土)から「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン2 グループD」の3連戦を迎えるにあたり、原田政和コーチは「3年生には『今までやってきたことを全部コートに出そう』と伝えました」と言いますが、「正直に言えば、選手たちにとっても経験したことのない、難しいシチュエーションだったと思います」と明かします。

キャプテンの鈴木郁武選手は「気持ちの整理を付けるのに時間は掛かりましたが、3年生が最後にしっかり戦う場をコーチが準備してくださったので、自分たちのバスケで全部勝つんだと声を掛け合いました」と語ります。

高山西(岐阜県)、浜松開誠館(静岡県)、四日市メリノール学院(三重県)との3連戦。そこで彼らが見せたのは、フィジカルを前面に押し出し、流れが悪くてもアグレッシブであり続ける、東海大学付属相模らしいひたむきなバスケでした。高山西との試合では相手の高さに圧倒されながらも終盤に突き放して79-58で、浜松開誠館には80-76と接戦を制して勝利しました。

最後の四日市メリノール学院戦では2桁のビハインドを背負いながら必死に食らい付きます。四日市メリノール学院での試合にもかかわらず、先に試合を終えた鵠沼(神奈川県)の選手たちによる大声援でホームゲームのような雰囲気の中、最後の最後でひっくり返して60-59の逆転勝利を収めました。

こうして3年生たちは、3つ勝って高校バスケを終えました。鈴木選手は「出だしが悪かったのは反省ですが、歴代の東海大学付属相模がずっとコンセプトにしているディフェンス、ルーズボール、リバウンドのところを3年生中心に体現できました」と、ホッとしたような表情で試合を振り返りました。

この3試合、3年生以上に気合いが入っていたのが井田航里選手です。2年生エースとしてオフェンスを引っ張る井田選手は、県予選準決勝の直前に体調不良で倒れ、試合には間に合ったものの絶不調に終わりました。「前日まで高熱が出て、試合当日には下がったのですが、全然シュートが入らなかったです。僕は多くを任せてもらっていて、チームを勝たせる責任があるのに、それを果たせませんでした。先輩たちは『仕方ないよ』と言ってくれましたが、全然仕方なくないので……」

同じく2年生で先発を任されているセンターの山本じゅん豪選手はゴール下で泥臭く身体を張り、井田選手も思い切りの良いシュートを打ち続けます。「僕ら2人がチームを引っ張っていく、自分たちの代に繋げるんだと先輩たちに見せたかったですし、後輩たちにも背中を見せなきゃいけないと思っていました」と井田選手は説明します。「3つ勝つのはもちろん、ディフェンス、ルーズボール、リバウンドで強度の高い(東海大学付属)相模のバスケを体現しながら勝っていく。そんな試合を絶対にやらなきゃいけないと思っていました」

鈴木選手も井田選手も口を揃えたように、鍛え上げたフィジカルと脚力を前面に押し出し、縦にスピードがあり力強い東海大学付属相模のバスケは、相手を自陣に押し込みます。そうしてできたペリメーター、あるいは3Pラインの外のスペースでパスを受け、思い切りの良いシュートで得点を量産するのが井田選手の仕事です。チームバスケが機能してこそ真価を発揮する彼のシュート力は、この3試合で存分に発揮されました。

ただ、四日市メリノール学院との試合のラストポゼッション、1点負けている状態で最後のボールを託された井田選手は、スリップして転倒してしまいます。これでチャンスは潰えたかに見えましたが、井田選手はフロアに叩き付けられながらもパスを出し、そこから逆転の得点が生まれました。2年生エースが倒れてもチームで繋ぎ、勝って試合を終える。県予選ではできなかったことをチームで乗り越えた瞬間でした。

鈴木キャプテンはこう語ります。「僕たちは3連勝で終われて良かったですが、チームはこれからも続いていきます。スタメンで出ている航里とじゅん豪の2人には、この勝ち方で満足してほしくないです。航里は神奈川県内では誰も止められない存在ですが、もっと上を目指すには他の4人が任せてしまうのではなく、チーム全員で戦う力が必要なので、これからそれを突き詰めていってほしいです」

3連戦の初日は思い詰めたような表情をしていた井田選手は、3日連続の勝利でトラウマを払拭したかのような笑顔を見せ、もう一度気を引き締めました。「これから新チームになるので、練習でも試合でも誰かがミスした時に励ます声を掛けたり、必要であれば厳しい声も出していきます。今まで僕はプレーで引っ張るタイプで、あまり言わなかったですが、そこは変えていきます。当然、プレーで引っ張るのは今まで以上にやります。僕は去年のエースだった高島舜弥さんを超えるぐらい点を取って、他のみんなもレベルアップして、僕自身が成長しながらチームを上げていきたいです」

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