「優勝候補に対して良い試合ができたのはすごく自信に繋がります」
10月19日、宇都宮ブレックスは群馬クレインサンダーズに83-80で競り勝った。同地区の難敵相手に連敗を2で止め、勝率5割復帰と、チームにとって価値ある一勝となった。
宇都宮の比江島慎は、この重要な試合で12得点3アシストを記録。残り1分40秒での貴重な3ポイントシュート成功に加え、ファウルゲームを仕掛けてきた相手に対し、ここまで61.1%と苦しむフリースローを4本中3本成功とノルマを果たした。
比江島は「第1クォーターで、相手の激しいプレッシャーに攻めあぐねてしまいました。そこでディフェンスから流れをつかみ、全員がファイトして戦ったことで勝利に繋がったと思います」と試合を振り返る。
そして、次のようにこの1勝の価値を語る。「今シーズン、群馬さんは優勝の最有力候補の一つでタレント、組織ともに素晴らしいチームです。そういった意味でも特別な試合になるとみんな理解していたと思います。今、新しいことをやっていて、リズムに乗れていない中で、優勝候補に対して良い試合ができたのはすごく自信に繋がります」
比江島が言及したように、今シーズンの宇都宮はBリーグ初挑戦となるイタリア出身のウォルター・デ・ラファエレを新ヘッドコーチに招聘し、チームの変革を推し進めている。その中で、比江島はベンチスタートに象徴される新たな役割の影響もあるのか、ここまで平均7.8得点、2.6アシストとスタッツを落としている。ただ、出場時間の得失点は、チームトップの7.3と、比江島がコートに立つことで引き続き大きなプラス効果をもたらしていることは間違いない。

「トレイだけに頼ってしまうと、相手も守りやすくなる」
これまでと比べボールに絡む頻度も減っている比江島だが、自身の使われ方については指揮官といろいろと擦り合わせている最中だと明かす。
「まだまだヘッドコーチとお互いを理解し合っているところで、コーチも自分が乗っていけるタイミングだったり、ピック&ロールを使っての崩し方などを探っているところだと思います。トレイ(ケル)がいない時間帯で、起点になって守備にプレッシャーをかけてほしいと言われていて、そこは意識しています。新しい戦術が多い中でどうやって自分の特徴を出していけるか手探り状態で、まだまだ時間が必要な段階だと思います」
今の宇都宮はケルがメインハンドラーとしてオフェンスを牽引しているが、戦術面で彼に多くを任せている印象がある。いくらケルが打開力に優れていても、それだけでは相手にとって守りやすい。宇都宮が昨シーズンまでのオフェンス力を取り戻すには、比江島をもっと絡めていく必要がある。これまで何度もビッグショットを決めてきた比江島の勝負強さをしっかりと活用することは、タフな試合に競り勝ち、上位戦線に食い込んでいくためには不可欠な要素だ。
比江島は、ここ一番における自分の役割をこう考えている。「クラッチタイムは、起点となる選手がボールを持つ機会が多くなります。そこでトレイだけに頼ってしまうと、相手も守りやすくなると思います。自分が一緒に出ることでスペースも広がると思いますし、彼の助けになることをしっかり考えてやっていきたいです。ヘッドコーチも今日は自分がシュートを打つセットプレーをやってくれましたし、そういった期待に応えていきたいです」
長らく同じスタイルの下でプレーしていたからこそ、比江島がこれまでと違う戦術の下で最適解を見つけるのに時間がかかるのは致しかたない。とはいえ、わずか8枠というプレーオフの狭き門を通過するためには、悠長に構えている時間もない。宇都宮にとって、比江島の本来の力を引き出すスタイルの確立は最優先事項だ。
