「競争がある環境が好きなので楽しめています」

Bプレミア元年となった今シーズン、川崎ブレイブサンダースは、男子日本代表の指揮官である桶谷大を新ヘッドコーチに招聘。それだけでなく、外国籍選手と帰化/アジア特別枠の4名を総入れ替えするなど抜本的なチーム改革を実施した。新生・川崎でオフェンスの舵取り役を担っているのが、サウジアラビア代表のモハメド-アリ・アブドゥル-ラフマンだ。

アブドゥル-ラフマンは、ミシガン大4年時の2017-18シーズンに全試合に先発出場して平均12.9得点の活躍をした。現在もNBAでプレーするモリッツ・バグナー、ダンカン・ロビンソンとともに、その年のNCAAトーナメント準優勝を達成すると、プロ転向後はイタリア、トルコ、スペインと欧州各国の1部リーグでプレーを続けてきた。ちなみに横浜ビー・コルセアーズのアイザイア・リバースは、準優勝した年に1年生としてミシガン大に在籍している。

そのアブドゥル-ラフマンは本来ならば川崎に加入する予定ではなかった。しかし、キース・ブラクストンがメディカルチェックの問題によって契約解除となったことで、8月31日に契約締結が発表された。その発表の3日前に、『FIBAワールドカップ2027アジア地区予選』Window4の日本vsサウジアラビアで、16得点の活躍をしていたエースのBリーグ参戦は驚きだった。

その後、アジア競技大会にも出場していたアブドゥル-ラフマンは、ビザ取得手続きの関係でシーズン開幕後にチームに合流。開幕から3試合目となる10月3日のアルティーリ千葉戦でデビューを果たした。チーム練習をほとんどこなせず、なおかつ日本でのプレーが1年目とアジャストするべき点が多々ある中でも、ここまで4試合で平均32分3秒のプレータイムで、16.5得点、6.5アシスト、4.8リバウンドを記録している。

10月10日のアルバルク東京戦後、取材に応じたラフマンは、Bリーグについて「素晴らしいリーグです。優秀な選手、コーチたちがたくさんいます。私は競争がある環境が好きなので楽しめています」と語る。

また、Bリーグについては、「何人か知人がプレーしているので、どんな感じなのか少しリーグの状況を聞いていました。実際に来てみると、違う部分もありますが今のところは順調だと思います」と語り、次の選手たちからいろいろなことを聞いていたと明かす。

「スタンリー・ジョンソンと彼のチームメートだったHJ(イ ヒョンジュン)、それにコー(フリッピン)とは夏の間、ときどき一緒にワークアウトをする関係です。みんなBリーグを絶賛していて、チームはしっかりと生活面からサポートしてくれると言っていました。私はずっと日本でプレーしたいと思っていたので良い決断でした」

「適応力があるかどうかが良い選手の証明になります」

川崎ではポイントガードとしてフル稼働しているアブドゥル-ラフマンだが、大学時代や欧州での主な役割はシューティングガードだった。「アジャストは必要ですし、簡単ではないです」と語る一方で、確かな手応えも得ている。「ただ、チームから求められている役割を遂行するためにベストを尽くすだけです。自分はどちらかと言えばコンボガードで、ポイントガードもこなせまずが、本職はシューティングガードです。それでも今のところ、ある程度は機能していると思います。今は学びのプロセスで、試合を重ねるごとに良くなっていくだけです」

そして、この新たなチャレンジを彼は歓迎している。「(加入する時)ある程度は自分がボールを多く扱うことになるとわかっていました。年齢を重ねるにつれて新しい挑戦を求めるようになっています。これもその一つです」

また、アブドゥル-ラフマンは、新たな役割を求める桶谷ヘッドコーチへの信頼を強調する。「ワールドカップ予選で対戦した時は、心理戦をやりたくなくてあまり彼と話さないようにしていました(笑)。でも、本当に素晴らしいコーチです。何を求めているのか、そのためにどうして欲しいのかという要求が非常に明確なのはリスペクトしています。個人的には、そういうスタイルが好きです。だから良い関係を築けていますし、とても面白い人ですね」

過密日程のBリーグでは、シーズン中に十分な練習期間はない。だが、アブドゥル-ラフマンは「適応力があるかどうかが良い選手の証明になります。できるだけ短期間で順応し、成長することを目指していきます」と言い訳をすることはない。

現在、黒星が先行している川崎にとって、10月の残り6試合は上位戦線に食らいついていけるかを左右する、シーズン序盤の踏ん張りどころとなる。安易なターンオーバーからの失点で自ら流れを渡す場面が目立つ川崎において、アブドゥル-ラフマンを軸にどこまでオフェンスを立て直せるかに注目したい。