荒谷裕秀

「自分が強みにしているプレーはチームが必要としたプレー」

川崎ブレイブサンダースは開幕第2戦で名古屋ダイヤモンドドルフィンズに連敗を喫した。だが、相手の激しいプレッシャーに屈して30点差の大敗を喫した初戦と比べ、2戦目は桶谷大ヘッドコーチが「昨日よりも選手たちはファイトしてくれました」と語ったように、粘り強く相手にくらいついていく時間帯が増えるなど内容面に大きな改善が見られた。

新加入の荒谷裕秀は2試合ともに先発出場。開幕戦はフィールドゴール7本全て失敗の0得点に終わったが、2試合目は持ち味である力強いアタックから9得点、さらに2スティールと攻守で自分の仕事を遂行した。

荒谷は次のように試合を振り返る。「開幕戦でああいうひどい試合をしてしまい、今日は絶対に意地を見せないといけない試合でした。前半はそれができましたが、名古屋さんの完成度の高いバスケに第3クォーターで流れを作られてしまいました。昨日よりはやるべきことをやれましたが、自分たちのミスから流れを失ってしまったと感じています」

そして、チームと共に前日から確かなステップアップを見せた自身のプレーをこう分析する。「1回攻めてダメだった時に次の攻めを展開するできたところはチームとしてありました。個人としては名古屋のプレッシャーに対しても、パスをしっかり受けることができました。何か急激にうまくなったわけではなく、一つひとつやるべきことを積み重ねられたと思います」

川崎は現在、注目の新戦力であるサウジアラビア代表のモハメド–アリ・アブドゥル–ラフマンがビザ取得の手続き中で合流できていない。指揮官が1番ポジションで起用したいという意向を明かしたラフマンの不在もあり、荒谷は「ガードがプレッシャーに苦しんでいる時は自分がボールをもらって早くフロントコートに運ぶことも役割」と、持ち前のハンドリング能力でチームを助けている。

その上で、自身の役割をこう考えている。「今日のように相手のオフェンスを壊すディフェンスをやる。それが大前提として、サイズを活かしたアタックでレイアップまで持っていく自分の強みを出す。この両方を出せていければ自分のためにもなるし、チームの勝利に貢献できます」

「日本人でペイントアタックをしてクリエイトする力が、昨シーズンの川崎に足りていなかった部分でした。そして、自分が強みにしているプレーはチームが必要としたプレーで、そこはすごくマッチしていると思います」

「苦しい状況でも戦い続けることが桶さんのチーム」

今シーズンからBプレミアは外国籍がオン・ザ・コートフリーとなり、日本人選手にとってより厳しい環境となった。外国籍をいかに守れるかが日本人選手が出番を確保する大きなカギとなってきているが、これまでも外国籍ウイングに負けないフィジカルを持ち味としていた荒谷は、新ルールでも自身のやるべきことに変化はない。

「オン・ザ・コート4の破壊力はすごいです。ただ、それを出せない時間帯もあるので、そこで重要となってくるのが今までと変わらず、日本人選手がどこまで外国籍相手にマッチアップできたり、クリエイトできるか。自分に求められることは今までと変わることはないので、新しいルールを変に意識せず、自分の強みをしっかり出せればチームの力になれます」

そして、外国籍がより多くコートに立つ時間が増える中で、「相手も簡単にスイッチできるサイズ感になってくるので、その中でどこに自分たちの強みがあって、誰にボールを預けるのかをしっかり判断できることが一番大事だと思います」と、状況判断の精度を高めていく重要性を語る。

荒谷はさらに、外国籍を守れる日本人選手の価値が高まっていることへのやりがいを強調した。「今までより外国籍にマッチアップする機会が増えることは本当に楽しみです。昨シーズン、仙台で一緒にプレーしたJC(ジャレット・カルバー)やセルジオ(エル ダーウィッチ)といった優れた選手たちとの対戦を、国際大会でなくとも経験できるのはすごく楽しみな変化です」

オン・ザ・コートフリーは間違いなく日本人にとってより過酷な環境となる。だが、始まってしまったルールをネガティブに捉えても何もプラスは生まれない。荒谷のように、より手強い相手と対峙できることを楽しめるメンタルこそが、Bプレミアで日本人選手が生き残るための条件となってくる。

「劣勢だったり、苦しい状況でも戦い続けることが桶さん(桶谷大ヘッドコーチ)のチームだと思います。それを自分たちが体現し、桶さんの求めているものに応えていきたいです」と語るような彼の強靭なメンタルは、指揮官が何よりも大切にするものと合致する。プレー面、メンタル面の両方において、荒谷の川崎移籍は飛躍のチャンスとなりそうだ。