「昨日よりも選手たちはファイトしてくれました」

9月27日、川崎ブレイブサンダースはホームでの名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦に78-90で敗れ、開幕連敗スタートとなった。

開幕戦となった前日の試合で、川崎は第1クォーターこそ互角の展開に持ち込んだが、第2クォーター以降に急失速。ターンオーバーから35失点と、ミスから自滅し30点差の大敗を喫した。この反省を生かし、今日は出だしから集中力を切らさず粘り強いプレーを続けることで、前半は42−46と食らいついていく。

しかし、後半に入ると、名古屋Dの激しいプレッシャーディフェンスに気圧され、再び安易なミスやターンオーバーが増えると、マット・ボンズのファウルトラブルも影響しオフェンスが停滞した。守備でなんとか我慢したいところだったが、この踏ん張りどころで名古屋Dの要である齋藤拓実とスコット・エサトンの強力コンビを止められず、第3クォーターだけで齋藤に5得点4アシスト、エサトンに9得点を許した。そしてビハインドが2桁に広がって第4クォーターに突入すると、そのまま主導権を奪い返せずに敗れた。

川崎の桶谷大ヘッドコーチは次のように開幕節を総括する。「連敗という厳しい開幕節になりました。昨日よりも選手たちはファイトしてくれましたが、簡単なファウルがあったり、ファイトはしているけど規律に欠けていた部分が結構ありました。そういったところを改善していければ、良いチームになっていくと思います」

「ただ、外国籍が1人少ない状況で、優勝候補のフルメンバーの名古屋Dさん相手に途中までしっかり戦えて、マットのファウルトラブルがあった中でも、みんなで何とかゲームを作ろうと頑張ってくれたと思います。昨日に比べてステップアップしてくれました」

そして指揮官は試合後、選手たちに現実を受け入れて地道にチーム力を高めていくことの大切さを伝えたと明かす。「プロとして勝ち負けは重要ですが、昨シーズンに僕は琉球で開幕2連敗から最後はファイナルに進出したことを話しました。目先の勝ち負けに一喜一憂するよりも、一つひとつできることを積み重ねていくことでこそ、チームはこれから良くなっていけます。(連敗したからと)疑心暗鬼になるのではなく、自分たちのやっていることをしっかり信じて、次のアルティーリ千葉戦に向けて戦っていこうと話をしました」

「一つひとつやるべきことをやり切っていくことが、成功体験になっていく」

桶谷ヘッドコーチが昨シーズンまで指揮を執っていた琉球ゴールデンキングスは、過去5年連続でファイナルに進出したリーグ随一の常勝チームだ。この圧倒的な勝者の経験があるからこそ、選手たちは目先の結果に振り回されることなく、自分たちのやるべきことに集中しやすい。

一方で今の川崎は、リーグ初年度のファイナル進出など勝者の歴史はあれど、過去2シーズン連続でリーグ下位に沈む再建途中のチームだ。今はチームとしての勝ち筋を模索しているところで、置かれている状況は全く違う。もちろん指揮官はこの違いを理解しており、だからこそ、疑心暗鬼にならないために必要なことをこう語る。

「本当に一つひとつやるべきことをやり切っていくことが、成功体験になっていくと思います。昨日に関しては、やり切ろうとする姿勢がなかったのが僕としてはあり得なかった。今日は、なんとかしようと、トライする姿が見えたのは収穫です。自分たちのやるべきことをワンポゼッションずつ積み重ねていく。勝ち急ごうとして結果を残すのは絶対に無理です。」

また、指揮官は「(一気にチームが良くなる)魔法をかけられるコーチはいないです」と続け、琉球時代の圧倒的なリバウンドのように、今の川崎において苦しい時に立ち返れる拠り所をこのように考えている。

「横綱相撲をできるタレントが揃っているわけではないので、やっぱりハッスルすることが大前提です。ただ、シュートが上手い、フィジカルが強いとそれぞれに武器を持っているので、それを連動性のあるオフェンスに繋げて生かしていきたいです」

「今は連動性がない時はかなりあります。この連動性をいかに作れるかがカギで、それができれば高い生産性のあるバスケットができます。名古屋Dさんは(激しいプレッシャーで)この連動性を切るのがうまいチームで、今回はプレッシャーに屈してラグが生まれてしまいました」

今夏、桶谷ヘッドコーチは日本代表活動のため長らくチームを離れ、ようやくチームに戻ってくると、入れ替わりでアレックス・カーク、山内ジェベル琉人がアジア競技大会に参加した。さらに外国籍の1人、サウジアラビア代表のエースであるモハメド-アリ・アブドゥル-ラフマンはビザ取得の手続き中で合流できていないなど、川崎は他のチームと比べてもチーム作りが遅れている。

「一気に良くなる魔法がない」ことを突きつけられる結果となったが、それだけに伸び代もある。特に「ラフマンが1番ポジションでプレーすることで、小さい選手も使いやすくなります」と語るように、ラフマンが合流できれば高さのミスマッチを減らしつつ、2試合続けて2桁得点を挙げた松山駿のようなアンダーサイズの日本人シューターを使いやすくなる。

現役日本代表ヘッドコーチの存在によって川崎の復権への期待は高まっているが、ローマは一日にして成らずというように、短期間で状況が好転することはない。明るい光がすぐに見えてこない中でも、どれだけ自分たちを信じて正しいことをやり続けられるか。川崎の復活には何よりも我慢強さが必要となってくる。