レブロン・ジェームズ

「ウチはオヤジの力を必要としているから来てくれよ」

レブロン・ジェームズが、自身のポッドキャスト『Mind the Game』を更新し、現役続行、そしてセブンティシクサーズ移籍という決断の舞台裏を明かした。ホストを務めるスティーブ・ナッシュにうながされながら、レブロンはこの夏を振り返る。

プレーオフでサンダーに敗れ、2025-26シーズンが終わった瞬間から、「これで終わりだろうか」という思いが何度も頭をよぎったと彼は言う。「結局のところ、自分に問うしかなかった。シーズンが終わってから1カ月半から2カ月、全くボールに触れなかった。すると、身体だけでなくメンタルも昨年の夏以上に良い反応を示し、『なぜ続けるチャンスがあるのにやめなきゃいけないんだ?』と思えるようになった」

最近のレブロンは年齢による衰えを『父なる時間』という言葉で表現する。今回も彼はそれを使った。「僕は『父なる時間』という運命の限界にどこまで抗うことができるか、それに取りつかれている。『父なる時間』がコート上のライバルみたいに思えてくるんだ(笑)。今の僕は、身体を鍛えて心をフレッシュに保つ挑戦に夢中なんだ。もう一つは新しい仲間たちに自分の知識と経験を伝えること。実際にコートに立ってプレーすること以上に惹き付けられている。だってロッカールームが一つにまとまれば、コート上のプレーは上手くいくものだからね」

シクサーズを選んだ最大の理由に挙げたのが、タイリース・マクシーとの絆だ。レブロンはレイカーズからの退団を決断した時、真っ先に電話してきたのがマクシーだったという。

「僕はタイリース・マクシーという人間のすべてが好きなんだ。環境がどう変わろうと常に同じ人間でいる、スポーツ界だけでなく人生においても超レアな存在だからね」

『常に同じ人間でいる』という意味で、レブロンが最初に会った時のマクシーはNBA選手ではなく、『家に遊びに来た息子たちの友人』だった。「僕や妻、家にいる全員に礼儀正しく挨拶して、明るい笑顔を見せる若者だった。ドラフトで指名されてNBAのスター選手になっても、態度は1mmも変わっていない。成功して変わってしまうヤツが多い中で、彼ほど応援したくなる若者はいないよ」

「レイカーズに残らないことをエージェントを通じて知らせた時、彼はすぐに電話を掛けてきてこう言った。『オヤジ、どうするつもりだよ。ウチはオヤジの力を必要としているから来てくれよ』とね。普段は厄介事に巻き込まれたくないから、電話にはあまり出ないんだけど、あいつからの電話は別だ」

それに続く要因がジェイレン・ブラウンのトレードとジョエル・エンビードの存在だ。ブラウンについては、「攻守両面でのアプローチやゲームへの洞察力が大好き」と評価し、世間に誤解されがちな点も「人間みんな違って当然だし、彼の立ち向かう姿勢は気に入っている」と擁護した。そしてエンビードについては「町全体を背負って『プロセス』を10年以上続けてきて、優勝以外はすべてを勝ち取った男」と定義した上で、「僕がラストピースになり、彼が壁を乗り越える手助けをしたい」と語った。

レブロンは、自分がどんな決断をし、どんな立ち居振る舞いをしても批判されるのを承知の上で、新しい挑戦に踏み出そうとしている。「レイカーズに移籍した時には『ハリウッドで映画制作でもやるんだろう』と言うヤツもいた。でも僕は大きな挑戦が好きなだけだ。フィラデルフィアでも理不尽な雑音は付いて回るだろう。『なんでシュートを11本しか打たないんだ』とか『エンビードにパスしないのはなぜだ』とかね。でも大事なのは、僕たち自身が日々何を実践し、お互いをどう高め合うかだ。それと健康面さえ上手くいけば、最高の結果が得られるはずさ」