
Bプレミア移行に際し導入されたサラリーキャップ制度によって、今オフはこれまで以上に移籍が活発化し、茨城ロボッツは大型補強に成功した。多くの有力選手が集った中でも一番の実績を持つのはヴィック・ローだ。これまで千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングスで4年連続ファイナルに出場しているリーグ屈指のオールラウンダーに、新シーズンの意気込みを聞いた。
「これは新しくエキサイティングな挑戦になります」
――まず、茨城を新天地として選んだ理由を教えてください。
包み隠さずに言うと、Bプレミアに移行することで今シーズンは多くの選手は難しい決断を迫られたと思います。その中で、自分にとって最高の機会が茨城にあると思いました。これは琉球に残ることができなかったとか、残りたくなかったという意味ではありません。ただ、サラリーキャップ制度が新たに導入される、外国籍の起用について新しいルールが導入されるなどいろいろな要素が多くの選手の去就に影響を与えました。
リーグ全体を見ても、大きな変化がありましたね。D.J・ニュービル選手やセバスチャン・サイズ選手が移籍し、ジョン・ムーニー選手は韓国でプレーする決断をしました。Bプレミアは多くの選手にとって新しい道を切り開くチャンスだと思います。沖縄で過ごした3シーズンには感謝と愛しかありませんが、琉球にはすでに確固たるイメージが確立されています。独自の文化があり、選手層も厚くすべてが揃っていました。それは素晴らしいことですが、大きな組織の中の歯車の一つという感覚もありました。もちろん私はチームプレーヤーであり、この役割を否定するつもりはありません。
移籍を検討した時に、多くのチームが私の獲得に名乗りを上げてくれました。その中で茨城は、最初から「私たちはヴィックを信じています」と声をかけてくれたチームです。そして真っ白なキャンバスにこれから自分たちで新たなチーム像を描くことができるビジョンを示してくれて、そこに魅力を感じました。土台から文化を作り上げ、新しい何かを生み出す機会に関われるのは特別です。ロボッツファンの皆さんから愛され、このチームを振り返った時に「ヴィックやレイ・パークスジュニア、フィン・ディレイニー、長谷川暢、吉井裕鷹といった面々は茨城が新しい時代を歩む手助けをしてくれた」と思い出してもらえるような存在になれる機会と感じました。
――ロー選手にとって新天地で新しいキャリアを始めるにあたって、最大のモチベーションは何ですか。
これまで日本で成功を収めてきたと思います。Bリーグのレギュラーシーズン最多勝利、天皇杯に優勝し、Bリーグファイナルに4回出場しています。だが、リーグ優勝は一度もありません。それが私を突き動かしている一番の原動力です。そして茨城を強くすることが、私の使命と感じています。
ファンの皆さんがこのチームの未来を本気で信じることのできる理由を提供したい。それができれば、より茨城のバスケットボール界は最高に楽しくなります。これこそプロバスケットボール選手としての存在意義であり、目指すべきところです。だから私はヘナレヘッドコーチと自分自身に、「茨城のために自分の全てを捧げる」と誓いました。
――今オフの茨城は補強で成功したチームと称賛されています。そういった周囲の評価をどう感じていますか。
間違いなく、多くの素晴らしい選手たちを獲得できたと感じています。ここまで素晴らしい選手たちを獲得してくれた落(慶久)ゼネラルマネージャーを始めとしたフロント、ヘナレヘッドコーチの功績は大きいです。ただ、一方で常にネガティブな意見も言われるものです。私が最初、千葉Jに加入した時は「サイズが小さい。ヴィック・ローはビッグマンではないのに、Bリーグでどうやって通用するんだ」と言われました。ただ、このシーズンの千葉Jはレギュラーシーズン最多勝利の記録を打ち立てました。この記録を茨城が更新することになるとは言いませんが、多くのチームを驚かせることになると思います。
どのチームも最初から強豪だったわけではないです。琉球もチーム設立当初から今の地位に到達するまでには過程がありました。千葉Jも同じです。そして今の茨城は最も苦しい時期を乗り越えたチームだと思います。大きな一つの壁を乗り越え、ファンの皆さんから信頼され、メディアも含めて周りから「茨城はチャンピオンシップ常連のチームになれる」と言われるための道筋を作る時が来ました。だからこそ、高い前評判をプレッシャーとはとらえていません。これこそ誇るべき責任の重さだと思っていますし、私たちの目指すべきモノで、チームが進化していく上での最初の大きな一歩です。
期待という面でいうと、昨シーズンの茨城は19勝でした。もし30勝できればチームは改善されたと言えますが、私の目標はそれよりもっと高い位置にあります。ただ、チーム1年目の今シーズン、最もフォーカスしているのは正しい方向へとチームが歩んでいけるようにすることです。今、人々はこれまでと異なる形で茨城に注目し、話題にしている。また、新しい練習場が整備できたことでも前進しています。ホームの会場も改修しましたし、環境は整っています。あとは選手たちがコート上でしっかりしたパフォーマンスを見せるだけです。