琉球を選んだ理由「不安を消してくれる部分が多かった」
昨シーズンまで5年連続ファイナル進出の偉業を成し遂げた琉球ゴールデンキングスだが、Bリーグプレミア元年に向けた今オフは、積極的なチーム改革を断行。14年間在籍していた岸本隆一を筆頭に桶谷大ヘッドコーチ、ヴィック・ローやアレックス・カークといった近年の躍進を支えたコアメンバーが一気に去った。
そしてチームは、永久欠番にもなった元スター選手のアンソニー・マクヘンリーが指揮を取る新体制へと移行。デイビッド・ヌワバや大浦颯太といった新戦力を迎え、インサイドゲーム中心だったこれまでのスタイルから一変したアップテンポな高速バスケットボールへのモデルチェンジを推し進めている。
この新スタイル成功のカギを握っている1人が、新戦力のビッグマン川真田紘也だ。琉球は昨シーズンまで貴重なアジア枠に211cmのアレックス・カークを使うことで、高さのアドバンテージを生み出していた。しかし、今シーズン同枠でプレーするのはガードのキーファー・ラベナだ。これこそ琉球がアップテンポなスタイルを目指す何よりの証明だが、純粋な外国籍のセンターはジャック・クーリーのみとなった。長丁場のシーズンを乗り越えるには、クーリーの負担をいかに軽減できるかが大きなテーマとなり、この重要な役割を担うのが川真田となる。
とはいえ現在の川真田は、7月頭に行われた『FIBAワールドカップ2027アジア予選』Window3で右手関節舟状骨を骨折。球団は全治は3ヵ月から4ヵ月と発表しており、川真田がどのタイミングで復帰できるかは序盤戦における注目ポイントだ。
Window3で川真田は限られた出場時間の中でも、持ち前のフィジカルの強さを生かしたハッスルプレーで爪痕を残した。ここまでトップカテゴリーのB1で戦い続けた成果を国際大会で出した川真田だが、Bリーグでの手応えを聞くと「できるとまでは言いませんが、少なからず抗えていると思います。外国籍選手は年々、国の代表選手やユーローリーグでプレーした選手が来たりとすごくレベルが高いです。食らいつくのに必死という感じです」と語る。
川真田に琉球を新天地に選んだ経緯を聞くと、次の部分が決め手になったと振り返る。「マック(マクヘンリーアソシエイトヘッドコーチ)の熱さやチームの方針が自分にとって良いと思いました。ただ、勘違いしてほしくないのが、昨シーズンまで在籍した長崎ヴェルカも素晴らしいチームです。優勝もしましたし、環境もトップクラスです。ただ、長崎は交渉の時点でヘッドコーチが誰が来るのかがわからないなど不安要素があり、琉球のほうが不安を消してくれる部分が多かったので選ばせてもらった感じです」

4年の長期契約「すごく挑戦しがいがあります」
オン・ザ・コートフリーのルール変更を受け、各チームの外国籍と帰化/アジア枠の編成にも大きな変化が生まれつつある。これまではビッグマン重視のチームが多かったが、今シーズンは4人を同時起用する際の最大火力を重視するチームが増えた。その結果として、琉球のようにガードやウイングのアジア/帰化枠や外国籍が増え、純粋なビッグマンが減っている。
この変化を川真田は次のように捉えている。「今までは外国籍ビッグマンを交代で使っていたので日本人ビッグマンに出番が回ってこないところもありました。ベンチ入りの外国籍3名を同時起用した後で、『誰が交代が出る?』となったら日本人ビッグマンとなり、そこで結果を出せれば出番が増えて価値が上がります。でも期待に応えられなければ、3人起用をより長く押し通すことになって日本人ビッグマンの価値はもっと下がってしまう。オン・ザ・コートフリーにはメリット・デメリットの両方があり、メリットに変えられるかは自分次第だと思います」
川真田は、このように危機感を持っているが、少なくとも琉球は彼をローテーションの一員として大きな期待を寄せているだろう。それは4年という大型契約が何よりも示している。
川真田はこの契約への感謝を示すと共に、チームの信頼に応えたいという思いを語る。「長崎の2年間、正直プレータイムはあまりなかったです。その上でまた新しい挑戦をしないといけないと考えていた時期に、4年契約でチームの大事なピースとしてオファーをくれたのはすごくありがたいです。自分としても、まさかこんな長期の契約をもらえるとは思っていなかったです。すごく挑戦しがいがあります」
「ここからの4年は自分のキャリアにとっても大事な時期で、だからこそ大胆に行かないといけないという部分もあります。今まで通りの泥臭いプレー、身長を生かしたプレーをやっていくことに加え、4年の中で新しいこともできるように切り開いていきたいです」
契約年数やチーム編成が示すように、琉球は川真田を貴重な戦力として迎えている。だが、彼はこの状況にも「どんなにいい編成を組んでもらっても、自分の実力がなければ試合には出られないです。自分の存在をしっかりと試合で示すことで、プレータイムを勝ち取っていきたいです」と気を引き締めている。
そしてチームの新たな顔の1人として大きな期待を受けていることにも、「今は一つでも勝利に貢献していくだけです。それを積み重ねてファンの方たちが『琉球の川真田』と言ってくれるようになれば、結果としてチームの顔になってくると思います。良い意味で自分のことに集中し、自分のできることを一つひとつやっていきたいです」と足元をしっかりと見つめている。
身体を張ったハッスルプレーや泥臭いナイスディフェンスに対する琉球ファンの歓声の大きさはリーグでも随一だ。そして、こういったプレーこそが川真田の真骨頂だ。早くケガから復帰し、川真田らしいプレーで、沖縄アリーナを沸かせる姿を見せてくれるのが待ち遠しい。この光景がどれだけ見られるかは、今シーズンの琉球の勝敗のゆくえに大きな影響を及ぼすはずだ。
