
「メンタル面でも大人になりたい願望があります(笑)」
昨シーズン東地区10位で終えた茨城ロボッツは、今オフに大型補強を成功させて一躍優勝候補クラブに変貌した。
茨城は2021-22シーズンからB1に籍を置いていたが、これまでチャンピオンシップに出場することなく、下位に低迷し続けてきた。しかし、『B.革新』によってレギュレーションが変更され、サラリーキャップの導入が決定したことで大きな改革に打って出た。多くのクラブがこのルールに手を焼く中で、茨城は琉球ゴールデンキングスからヴィック・ローを、アジア特別枠で大阪エヴェッサのレイ・パークスジュニアを、日本代表にも名を連ねる吉井裕鷹や渡邉飛勇らそうそうたるメンバーを獲得。指揮官に昨シーズン優勝を果たした長崎ヴェルカでアソシエイトヘッドコーチを務めたポール・ヘナレを招聘するなど、刷新を図った。
「サラリーキャップの影響を一番受けたチームとして注目されているという意味でも、勝てるシーズンにしたいです。ここ数年、茨城は下位チームでしたが、チャンピオンシップを経験しているヴィック・ロー選手や、吉井選手、福澤(晃平)さんといった選手たちが新しい風を吹き起こしてくれています。若手にとって彼らから吸収できることが多いですし、彼らがチームを引っ張ってくれていますが、僕も牽引する立場としてすごく良い影響を受けています」
そう語るのは、これまでチームを牽引してきた長谷川暢である。チーム内でケガ人が多発した昨シーズンにあって長谷川は全60試合に出場し、平均21分58秒のプレータイムで日本人トップの10.3得点、3.3アシストと、文字通りチームを引っ張り続けた。その長谷川は新チームで練習を積み重ねていく中で「何かを変えなきゃいけない」と立ち止まったと言う。「昨シーズンまでの僕のプレースタイルは点数を取りに行って貢献していましたが、得点を取れる選手が増えたので、ゲームをコントロールをしたり、ディフェンスで前から仕掛けるといった、チームに足りない部分を埋めていくスタイルに変わっていくと思います」
今シーズンに加入した選手は前所属チームでエース級の活躍をして、オフェンスの中心を担っていた。長谷川もその役割を茨城で担っていたし、今シーズンもチームの歴史を知る選手としてその立場を貫いても良い立場だが、彼の考えは違った。「ヴィックも吉井も得点を取りたいと思うし、僕がそこで欲を出したらチームとして回らなくなります(笑)。別に僕の得点が0点でも勝てるようなチームに仕向けたいですし、勝てるのであればシュートが0本だろうと全然問題ないと思うように心がけています。個人の結果に一喜一憂せず、チームのためにやりたいという気持ちが今はすごく強いです」
大型補強が長谷川のマインドにも変化をもたらすことになったが、本人ははにかみながらこう続ける。「チームの中心としてプレーし、年齢も重ねてきたので、メンタル面でも大人になりたい願望があります(笑)」
長谷川は大黒柱として中心に居座るのではなく、屋台骨としてチームを支える立場にシフトチェンジした。エース級の選手の加入はチームを高いレベルに引き上げる可能性がある反面、これまで中心だった選手とのバランスを保つことに苦労することもある。しかし、長谷川の指針は茨城の未来を明るく照らす。そして彼自身、決して丸くなったわけではないことが頼もしさを増幅させている。
「もちろん自分で得点が取れる時はいつでも取りに行く準備はしていますし、そこが僕の強みでもあります。『オープンになったら決めてやるよ』という自信を持って今シーズンはやりたいですね」