岩下准平

プロデビューとなった昨シーズン、岩下准平はこれ以上ないスタートを切った矢先に残酷な試練がその身を襲った。『Bリーグドラフト2026』で長崎ヴェルカから1巡目指名を受けた直後に、『育成契約選手制度』を活用した相互連携によって滋賀レイクスに期限付き移籍が決定。特別指定選手として一足早くプレーするが、自身にとって3度目となる膝前十字靭帯を損傷し、手術を受けることに。度重なる損傷のため復帰時期は未定のままリハビリを進めている。そんな岩下に、現在の心境について語ってもらった。

「ネガティブな考えにはならなかったですね」

──昨シーズンは激動の1年となりましたが、あらためてドラフト当日から振り返っていきたいと思います。1巡目指名された時の気持ちと、その後に滋賀へ移籍が決まった時の心境を振り返っていただけますか?

まずは指名を受けて、ホッとしたというのが一番率直な感想でしたが、その場で滋賀に期限付き移籍が決まった時は理解が追いつきませんでした。でも、Bプレミアでプレーできることに変わりはなかったのでマイナスな気持ちは全くなく、楽しみの気持ちのほうが大きかったです。

──滋賀に加入して実際にどのようなチームという印象を受けましたか?

途中合流にも関わらずチームメートのみんなは本当に優しく接してくれたことが印象に残っています。プレータイムをもらえたこともありますが、みんなが自分の良さを発揮する手助けをしてくれました。

──Bリーグでプレーしてみて通用した部分と課題について教えてください。

3ポイントとピック&ロールは通用すると思いましたが、ディフェンスが一番の課題です。日本人ガードの脚力というか、前からついてくるディフェンスの強度が本当に高くて、これまでのカテゴリーと全然違いました。自分もこの強度で試合をできるようにならなきゃいけないと痛感しました。

──プレータイムを獲得した矢先にケガを負いましたが、悩むことはありませんでしたか?

ケガをしてしまったのは仕方のないことですが……難しいですね。でも、この1年間はあらためてBリーグの強度に慣れる身体作りができる期間だと思って、マイナスにとらえずにいます。幸いにもドラフトで指名を受けたことで3年契約の保証がありました。だからこの1年間を使ってしっかりと治したいと思いました。残りの2年で自分の良さや、今まで以上にできるようになったところを見せることができれば、これから先も長いキャリアを重ねていけると思ったので、ネガティブな考えにはならなかったですね。

──ケガをした時に支えになってくれた方はいますか?

両親はもちろんですが、大濠(福岡大学附属大濠)の同期もすぐ家に駆けつけてくれましたし、レイクスのみんなもビデオメッセージをくれたり、常に声をかけてくださったので、自然と前を向けた気がします。恩師の鶴我(隆博)先生(現・ライジングゼファー福岡 U15ヘッドコーチ)から『奇跡のバックホーム』という本もいただきました。アスリートで、僕と同じく前十字靭帯を3回損傷している人もいると聞いて、その人のYouTubeを見たり、似たような境遇の人の話を聞いたりしたことで、『苦しんだのは自分だけじゃないから頑張ろう』と気持ちを高めることができました。

あらためて自分はいろいろな人の支えがあって、ここまで来れていると思うきっかけになりましたし、感謝の気持ちを持って、この一年はリハビリに取り組んでいきたいです。そして、「あの時は、支えていただきありがとうございました」と復帰した時に伝えたいです。自分がつらい時に仲間や周りの人が支えてくれたので、今度は誰か困ってる人がいた時に、自分も手を差し伸べられる人になりたいと思いました。

岩下准平

「一日一日を大切にリハビリに取り組んでいます」

──現在の膝の状況はいかがでしょうか?

術後4カ月(取材は8月に実施)が経過しましたが、体重を少しずつかけていくところから始まって、最近はダッシュができるところまでたどり着きました。これまで2回経験しているので、道のりの長さは理解していますが、時間をかけて治していく方針なので、これからはもっと長く感じると思います。それでも、一日一日を大切にリハビリに取り組んでいます。阿部さん(阿部慶太郎ヘッドアスレティックトレーナー)を中心に、本当に毎日一生懸命、自分のリハビリを見てくれているので、信頼して身を預けてやっていけば、自ずと復帰が近づいてくるはずです。今は特に先のことを考えず、黙々とメニューをこなしています。

──復帰に向けて今後のスケジュールは決まっていますか?

トレーナーやチームと話して段階的な目標を決めています。一つひとつマイルストーンを達成して、最終的には今シーズン中の復帰を目指したいと思っています。

──リハビリを乗り越えるためにモチベーションにしていることはありますか?

両親や、大学、高校の同期みんなに来てもらって復帰の瞬間を見てもらうことをモチベーションの一つにしています。ただ、長いリハビリ期間なのでモチベーションを維持するのが難しい時もあります。そういう時は、一週間をかけて小さな成功を積み重ねて目標をクリアするといったアプローチも取り入れています。例えば指定されたハンドリングを何秒でできるかを毎日測定してみたり、スキルコーチがいろいろと工夫しながらやってくれているので助かっています。

──チーム練習も本格的に進み、開幕に向けてチームが同じベクトルを向いていますが、そこに対して焦燥感はありませんか?

羨ましいとは思いますが、それを考えていたら残りのリハビリ期間を乗り越えることはできないので、自分がやるべきことをやるようにしています。バスケット以外のところでもチームメートと仲良くやっていますし、コミュニケーションは良好なので、チームとしての一体感は感じています。最近はシューティングにも混ざっていて、ワークアウトも同じようなレベルで参加できるようになっています。

──今までよりもバージョンアップするために取り組んでいることはありますか?

バスケットの技術どうこうではなく、筋力や、身体の使い方について今は徹底的にやっています。本当であれば試合を外から見て学ぶことも進めたいのですが、それをやってしまうと試合に出たい気持ちが強くなったり、バスケットを見なくてはいけない気持ちが先走ってしまうので、今はできるだけ自分がやるべきことにフォーカスしています。

──最後に応援してくれている方々にメッセージをお願いします。

いつもご声援ありがとうございます。ケガをした時も、皆さんからたくさんの励ましのメッセージをいただいて感謝しています。今はリハビリを一生懸命頑張って、もう一度ダイハツアリーナに立ち、いつも応援してくれているファンの皆さんの前でプレーすることを目標にしています。1試合でも多くプレーする姿を見せたいと思っているので、ぜひ今シーズンも熱いご声援のほどよろしくお願いします。