チームの幹となっていく共通認識を持ったオフェンス

男子日本代表は『FIBAワールドカップ2027アジア地区予選』Window4のサウジアラビア戦、カタール戦を連勝で終えた。前後半の試合の入りの良さがチームに勢いをもたらし、ともに100点ゲームでの大勝となった。カタール戦では、第1クォーターに11-0のランで先制パンチをお見舞いすると、第3クォーターにも開始5分で22-3のランに成功し、40-11のビッグクォーターを生み出すきっかけとなった。

Window3まで先発起用が続いていた齋藤拓実は、河村勇輝がスターターとしてゲームのリズムを作るのをベンチで見守っていた。快進撃を続けるチームの勢いとは裏腹にあせりがあった。「1クォーターも3クォーターもあれだけ出だしが良いと、こっちのメンタルとしてはコートに早く出たいなという気持ちがあるにはあります」

一から試合を作り上げる先発と違い、ベンチスタートは流れが良ければそれを引き継がなければいけないし、悪ければ流れを変えることが求められる難しい役回りだ。カタール戦では、11-0とリードした場面で河村が2つ目のファウルを吹かれたのをきっかけに突如出番となったが、齋藤は出場直後、馬場雄大のダンクに繋がりカタールのタイムアウト請求を引き出すスティールからのアシストを決め、ベンチスタートの難しさを微塵も感じさせない入りを見せた。その後も流れを渡さず29-11で第1クォーターを終了させ、控えとしての役割を全うすると、14分29秒のプレータイムでアシストを5つ記録した。

「全体を通して出ている5人全員がしっかり共通認識を持って良いオフェンスを展開できていたので、そこまで何かを大きく変えずにやれました。特にスペーシングに対する認識が取れていて、上手くハマった感じです」

齋藤がこう語るように、今の日本代表は攻めるべき場所、オフェンスの構築方法において共通認識を持ってプレーすることができている。無理な1対1を仕掛けたり、「八村塁や河村にボールを預けて終わり」というような場当たり的なオフェンスはなく、オフボールの選手もポジションを取るために動いていた。「そこ(八村と河村)に頼りすぎないようにすることはすごく大事になると思っていました。塁に固執しないようにチームで人を動かしながらボールを回して、スペーシングをとれていたのはすごく良かったと思います」

そして、このスペーシングの良さは、齋藤が自ら「ストロングポイント」と言う視野の広さを際立たせた。「僕がピックを使った時に、逆サイドがオーバーヘルプしていたのが見えていました。そこにキックアウトしてクローズアウトゲームに持っていく展開を作りたかったのですが、しっかりできましたし、その結果より多くの判断が上手くいきました」

強化試合となった韓国戦は八村と河村の強力な個ばかりが際立つ内容だったが、直前合宿を経てチームは見事にまとまりを見せた。このまとまりはNBA組が出場できたこのWindowだけの特別なモノかもしれないが、彼らがオンコートでもオフコートでも同じ方向を向いてプレーできたことは大きな収穫だ。

齋藤はゲームメークだけでなく自ら得点を取る能力も高い。チームメートがスペーシングを取り、ボールの動きに合わせたポジショニングを行ってくれれば攻撃の選択肢はさらに増える。チームと齋藤の相性はこれからますます高まっていくだろう。