ドレイモンド・グリーン

「多く稼ぐに値する選手は多く稼ぐ。単純なことだよ」

カワイ・レナードを巡る『サラリーキャップ回避疑惑』は、なかなか決着がつかない。

長期化の背景には3つの構造的事情がある。クリッパーズのオーナー、スティーブ・バルマーは資産1200億ドル(20兆円)と言われる大富豪で、愛するクラブのために私財を投じることを厭わない。確たる証拠がないままクリッパーズに厳罰が下されれば、長期の法廷闘争となるだろう。それを避けるためにリーグは調査を委託している法律事務所に『100%の確証』を求めており、調査が長引いている。

クリッパーズは重い処分が科されればすぐさま仲裁手続きに入る構えで、ローレンス・フランク球団社長は疑惑を否定するとともに、バルマーはアスピレーションに騙された被害者だと潔白を主張している。NBA選手会のデビッド・ケリー事務局長も、「処分に値する証拠は何も出てこない。確たる証拠なしに処分を下すのであれば、選手会として徹底抗戦する」とリーグを牽制している。

さらに、これが『有罪』とされれば、今後すべての選手の個人スポンサー契約を監視する必要が出てくるため、他クラブのオーナーたちもそれを望んでいない。結局のところ、コミッショナーのアダム・シルバーは強い権限を持つように見えても理事会に雇われた身で、オーナーたちを満足させるのが仕事だ。有力オーナーのバルマーに厳罰を言い渡すのは簡単ではない。

ただし、かねてから疑惑が報じられている『アスピレーション』に加え、スコアボード製造会社『ダクトロニクス』との未公表スポンサー契約があったことまで判明し、『100%の確証』はなくてもクリッパーズとバルマーを『有罪』と見なす流れは強まっている。

そんな中、ウォリアーズのドレイモンド・グリーンが自身のポッドキャスト番組でこの問題を取り上げた。グリーンは同じ選手として「彼は疑惑をかけられるようなタイプには見えない」とカワイの立場に寄り添い、「もし疑惑が本当だったとしても、僕はカワイに対して怒る気にはなれない」と続けた。

「これはカワイが悪い、バルマーが悪いという話ではなく、サラリーキャップ制度そのものへの疑問を突き付けている。お灸を据える程度のペナルティで済むなら、みんなやったらいいんだ。でも、考えてほしい。僕たちは14カ月前に100億ドルで売られたチームが、今また125億ドルで売られるリーグでプレーしている。そのリーグの成功を牽引している選手の稼ぎを制限するサラリーキャップは、何のために存在しているんだろう?」

「もしカワイがサラリーキャップの外で収入を得ていたなら、それは彼が偉大な選手だからだ。アップルのCEOはエンジニアより稼いでいる。でもNBAでは決められた範囲の中で選手年俸を割り振る。僕はこの制度自体に反対したい。こんな疑惑が持ち上がるなら、サラリーキャップ制度そのものを廃止すべきだ。MLBにサラリーキャップはないけど、リーグは問題なく運営されている。多く稼ぐに値する選手は多く稼ぐ。そうでない選手はそれなりに稼ぐ。単純なことだよ」

「カワイが罪を犯した、トレードはどうなる、罰則はどうなる、とみんなが議論しているけど、論点はそこじゃない。1年ちょっとで25億ドルも資産価値が上がるリーグにサラリーキャップの意味はあるのか。カワイが『サラリーキャップ逃れ』をしていたなら、僕はその行為を称賛するよ。サラリーキャップなんて、あるべきものじゃないんだ」