「フローターはもともと得意なので、何本か決めようと思っていました」
8月10日、男子日本代表はモンゴル代表との『日本生命カップ2026(佐賀大会)』第2戦を75-57で快勝。第1戦を65-67で敗れた雪辱を果たした。
日本は前半を互角で終えるも、第3クォーター立ち上がりにモンゴルの猛攻を許しジリジリと突き放された。そして、この嫌な流れを変える原動力になったのが、この試合最大となる15点ビハインドの場面で投入された黒川虎徹だった。黒川はこの劣勢の状況で、高島紳司の3ポイントシュートを2本アシストし、さらにオフェンスリバウンドを取って自ら得点するなどオフェンスを牽引。その結果、6点差まで詰めてこのクォーターを終えた。そしてモンゴルがガス欠に陥り、集中力が切れた第4クォーターも黒川はフローターや3ポイントシュートなど好プレーを続け、27-3のビッグクォーターを作っての逆転勝ちに大きく貢献した。
黒川は20分31秒のプレータイムで、後半だけで7得点を挙げ5アシスト2スティールを記録。自身のプレーをこう振り返る。「個人として前半は全然良くなかったです。後半も含めてなかなかシュートを決め切ることができなったのは課題ですが、シュートは水物なのでそれよりもディフェンスにフォーカスしてやれたことが大きかったです」
大逆転劇をもたらす大きな要因となった黒川、小川敦也、ジャン・ローレンス・ハーパージュニアの同時起用について、「スリーガードになってディフェンスの機動力が良かったと思います。(攻守の切り替えで)誰がボールを持ってもプッシュできますし、スピードを上げることができます」と、プラス効果を語った。
スリーガードは練習でも試したことがないぶっつけ本番だった。東海大で黒川と一緒にプレーし、小川とも世代別代表でプレーしてきたハーパージュニアは、スリーガードが機能した理由をこのように語る。「テツ(黒川)とは大学でずっと一緒にやってきて、テツがボールを持って自分が走ったら絶対にパスが来るのは分かっていました。敦也は周りをよく見ているので、オープンになったらパスを出してくれます。お互いを信頼していたので、あまり練習をしていなくとも噛み合ったのかと思います」
そして黒川は「何よりも『逆転しないと』という思いで全員が必死だったので、セルフィッシュになることもなかったのがよかったと思います」と見ている。
本人も語るように、この日の黒川はフィールドゴール12本中3本成功とシュートタッチに苦しんだ。それでも、初戦はモンゴルの高さに苦しみ、ペイントタッチから決め切れなかった反省を生かしてフローターをねじ込むなどアジャスト力の高さを示した。
黒川もこのように手応えを感じている。「昨日はゴール下に突っ込んでタフショットになってしまいました。フローターはもともと得意なので、今日は何本か決めようと思っていました。しっかりと両足でバランスを取って周りを見ながらフローターにもっていけたのは収穫です」
この勝利はスリーガードという新たな可能性を見出せたことに加え、劣勢でも気持ちを切らさず守備のハードワークから流れを変えられる貴重な成功体験となった。そして黒川は持ち前のゲームメーク力に加え、ペイントタッチからのレイアップ、キックアウトパスにフローターとスキルの高さを示した。今回の出場メンバーで臨む『第20回アジア競技大会』における自身の重要性を証明した一戦となった。
