ステフィン・カリー&ドレイモンド・グリーン

緩やかな衰退の末にカリー引退を待つ『消極的な未来』

ドレイモンド・グリーンとウォリアーズは1年2770万ドル(約42億円)で再契約に合意した。これは6月に本人が行使を見送ったプレーヤーオプションと実質的に同じ金額だ。

そもそもグリーンがオプションを放棄したのは、ウォリアーズにレブロン・ジェームズ獲得競争に参加させるためだった。それでもレブロンはセブンティシクサーズを選択し、グリーンは当初見送った条件で契約を結び直し、ウォリアーズで15回目の開幕を迎える。

ウォリアーズのこの判断は否定的に見られている。昨シーズンのグリーンは8.4得点、5.5リバウンド、5.5アシストを記録。ジミー・バトラーとモーゼス・ムーディーが戦線離脱し、グリーンのディフェンスの統率力とステフィン・カリーとの連携が何とかチームを支えた状況だった。しかし全盛期からの衰えは確かに出ており、彼がベンチに下がっている時間のほうがチームの得失点差は良かったというデータもある。

そのグリーンの『適切な年俸』は果たしていくらなのだろうか? クリスタプス・ポルジンギスとディアンソニー・メルトン、グリーンと再契約を交わしたことで、サラリーキャップの柔軟性は失われ、ネッツからマイケル・ポーターJr.を獲得する可能性も潰えた。

ポーターJr.を獲得するために将来の1巡目指名権を手放すのをフロントが嫌った、あるいは指揮官スティーブ・カーがポーターJr.はウォリアーズにフィットしないと反対したとの情報もある。だが、『現状維持』がウォリアーズに明るい未来をもたらすことはない。

ウォリアーズ周辺ではカリーがチームに不満を抱いているとの噂が流れ始めた。グリーンは自身のポッドキャスト番組でこの話題に触れている。「ある記者が『ステフはおそらくスター選手を追いかけることに疲れている』と書いた記事を読んだよ。ここで気を付けたいのは『おそらく』という言葉だ。ステフが何に疲れているかは知らないけど、もしそうだとしたら彼はそれをはっきり口にする。彼は困難な会話を避けない。だからこの記事の『おそらく』には信憑性がない」

バトラーとムーディーが順調に回復し、大ベテランのカリーとグリーンがフル稼働でき、ケガが多い上に病気にも苦しんでいるポルジンギスも健康を保ち、ここ数年で育てた若手とルーキーのヤクセル・レンデボーグが次々とブレイクし……それだけの幸運が重なってようやく、ウォリアーズは西カンファレンスの上位に食い込める。何か一つでも噛み合わなければ、プレーインに終わった昨シーズンの再現だろう。

レブロン獲得の失敗は仕方ない。ポーターJr.を獲得すべきでない判断も理解できる。それでも『現状維持』はあまりにも消極的だ。複数年契約は得られなくても「勝手知ったるチームでプレーし続けたい」という希望が通ったグリーンは満足だろうが、このチームに上積みは望めない。緩やかな衰退の末にカリーの引退が待っているのであれば、もはや彼をトレードに出し、再建のための資産に替えることを検討すべきだろう。

とは言え、ウォリアーズにとって『カリー放出』は検討に値しない暴論だ。それならば、カリーの長年の努力と献身に報いるだけの競争力を持ったチームを作るのがフロントの責務だ。