
「NBAはショー」と言い放ったウイングが6年ぶり復帰
レブロン・ジェームズがセブンティシクサーズを選んでから2日後、キャバリアーズはマリオ・ヘゾニャと1年280万ドル(約4億2000万円)の契約を結んだ。
ヘゾニャはクロアチア出身の31歳。2015年のNBAドラフトで1巡目5位でマジックに指名され、『スーパーマリオ』の異名とともに身体能力とシュート力を兼ね備えたウイングとして期待されたが、在籍3シーズンで目立った結果を残すことができなかった。2018年に移籍したニックスでは、レブロンのシュートをブロックしたり、ヤニス・アデトクンボを相手にポスタライズダンクを決めたり、トリプル・ダブルや30得点ゲームを記録するも、プレータイムは20.8分と主力にはなれなかった。
2015年のNBAドラフト組には、全体1位指名のカール・アンソニー・タウンズを筆頭に、13位指名のデビン・ブッカーや4位指名のクリスタプス・ポルジンギスが今も活躍しているが、NBAに定着できななかった選手も多く、結果的に『不作の年』となった。NBAのバスケが『ペース&スペース』に移行する転換期で、選手の才能を見いだすスカウトにも、その才能を使うコーチにも迷いがある中で、ヘゾニャもNBAで自分のポテンシャルを発揮できなかった。
トレイルブレイザーズでプレーした2018-19シーズンも不発に終わり、グリズリーズにトレードされたその日のうちに解雇を言い渡され、彼のNBA挑戦は幕を閉じた。
Throwback to when Mario Hezonja denied LeBron James with the game on the line 🔥🔥🔥 pic.twitter.com/KurikldOBO
— ESPN Cleveland (@ESPNCleveland) July 26, 2026
それでも彼のキャリアが終わったわけではない。10代のうちにバルセロナでプレーし、ユーロリーグも経験していた彼は、ギリシャとロシアを経て、スペインに戻って再起を果たす。2022年にレアル・マドリーに加入し、ヨーロッパでも屈指のスコアラーとして活躍。この時にはNBA復帰の可能性を「NBAに戻るつもりはない。正当な評価を受けられなかったし、あれは競技というよりショーだ」と、厳しい言葉で否定している。
それまでのヘゾニャはディフェンスへの意欲が低かったし、シュートが決まらない時に打ちまくる悪癖があった。それがヨーロッパに戻り、勝敗の責任を背負うことで自覚が増し、サイズを生かした粘り強いディフェンスをするようになり、シュートセレクションも格段に向上した。
マドリー加入1年目にユーロリーグ優勝、4年目の昨シーズンはスペインリーグのMVPに輝いた。ヨーロッパで『チームを勝たせられるエース』という評価を確立した後、彼はNBA復帰を決めた。マドリーとは長期契約を結んでいたが、NBAのクラブからオファーがあった時にはわずかな違約金で契約を解除できる条項があった。エースがこの条項を使ったことでマドリー側には大きな反発があったが、ヘゾニャはNBA復帰を望んだ。
キャブズは逆風のオフを過ごしている。プレーオフのカンファレンスファイナルでニックスにスウィープでの敗退を喫した後、マイク・ガンジーGMをセブンティシクサーズに引き抜かれて、チーム編成で出遅れることとなった。どちらにしてもレブロン復帰に賭けていただけに、そのアテが外れたことで、ディーン・ウェイドとキーオン・エリスをフリーエージェントで失った穴を埋める必要があった。
レブロン獲得に失敗した場合はジョナサン・クミンガの獲得が噂されていたが、ここまで動きはない。年俸2000万ドル(約30億円)規模の複数年契約を求め、なおかつホークスのサイン&トレードが必要となるクミンガではなく、1年280万ドルと『お手頃』なヘゾニャでひとまずロスターの穴を埋め、今オフではなく次のトレードデッドラインまで様子を見るのがキャブズの方針のようだ。
キャブズにとってヘゾニャは安価で手堅い『繋ぎ』だが、ヘゾニャとしては出場機会が見込め、自分がウイングの穴を埋めればプレーオフで上位進出を狙えるチームでの『再挑戦』は願ってもないチャンスとなる。