アンソニー・マクヘンリー

「試合をできるだけエキサイティングなものにしていきたい」

720日、琉球ゴールデンキングスは2026-27シーズンよりチームの指揮を執るアンソニー・マクヘンリーアソシエイトヘッドコーチの就任会見を行った。

マクヘンリーは現役時代、2008年から2017年にかけて琉球に在籍。bjリーグ時代に4度のリーグ優勝をもたらし、現在も継承されるチームカルチャーの確立に大きく関わった。その功績から彼の背番号「5」は永久欠番となっている。その後、信州ブレイブウォリアーズでの活躍を経て、2022-23シーズン終了後に現役引退。翌年からアシスタントコーチとして琉球に復帰し、桶谷大前ヘッドコーチの退任に伴って琉球を率いる。

役職が「アソシエイトヘッドコーチ」となっているのは、ヘッドコーチに必要なS級ライセンスの取得中であるため。マクヘンリーがコーチ陣のトップであることは間違いなく、会見に同席した安永淳一GMは「アソシエイトヘッドコーチという形になりますが、マクヘンリーコーチ体制となります。日本語で表現するのであれば『マクヘンリー指揮官』という言葉が一番しっくりくるかなと思っております」と語る。

プロコーチ歴わずか3年であり、指揮官としてのマクヘンリーの実力は未知数だ。だが、彼は現役時代から卓越したバスケットボールIQを発揮し、メンターとして多くの選手に慕われるなどコーチの素養を見せていた。安永GMは、マクヘンリーの抜てき理由をこう続ける。「それぞれのスタイル、価値観がある中、マクヘンリーコーチの『キングスはこうあるべき、こういう戦いをすべき』という考えは、キングスが20年の歴史で積み上げてきたものと本当にフィットしています」

そしてマクヘンリーは、自身の強みをこう捉えている。「日本のバスケットボールに長い間、関わっていく中で一定の成功を収めてきました。だから、このリーグでうまくいくために何が必要なのかは知っています。コーチングスタッフはゲームの戦術や戦略についてくわしく、活用すべきコンセプトを熟知しています。そして私は選手としての経験から、選手たちの気持ちやコート上で直面する問題に共感することができます。それによって選手たちの成功と、私も現役時代に直面した困難を乗り越えるための手助けをできるかもしれないです」

アンソニー・マクヘンリー

「目標は日本のバスケットボールを前進させること」

昨シーズンまで琉球は、桶谷前ヘッドコーチの下で5年連続ファイナルの金字塔を打ち立てた。この偉業を支えたのは、ジャック・クーリーを軸としたリーグ屈指の強力インサイドゲームだった。ルーズボールやリバウンドへの執着心といった根幹は変わらない中でも、マクヘンリーは自身の推し進めたいスタイルを次のように明かす。

「今シーズンに向けて編成したチームでは、ボールムーブを多くし、とても早いペースのバスケットボールを計画しています。私はプロバスケットボールが、エンターテイメントビジネスであることも理解しています。だからこそダンクや3ポイントシュートなどファンの皆さんが喜ぶプレーを見せて、試合をできるだけエキサイティングなものにしていきたいです」

Bプレミア元年となる今シーズンは、外国籍のルールが従来のオン・ザ・コート2から3へと変更。帰化/アジア枠とあわせると4名を同時起用できる。この新ルールにうまくアジャストできるかが、各チームの明暗を分ける大きなポイントなる中、琉球は帰化/アジア枠に司令塔のキーファー・ラベナを獲得するなど、「オン・ザ・コート4」に対応したロースターを組んでいる。

しかし、琉球の安永GMは、日本人選手の重要度はこれまでと変わりはないと強調した。「マクヘンリーコーチと新しいルールについて話した時、彼が『これは日本のリーグ、日本のバスケットボールだから日本人選手が戦わないといけない』と素晴らしいことを言ってくれました。何でもいいから勝つのではなくこだわりを持っています」

マクヘンリーも日本人選手の育成について、強いこだわりを見せる。「新しいルールにアジャストすることは必要ですが、私たちの目標は沖縄だけでなく、日本のバスケットボールを前進させることです。日本人選手を成長させ、コートに誰が立っても活躍できるチームにすることが、日本バスケットボールの成長につながる。その最前線に私たちは立っていたいです」

また、指揮官は具体的な目標を「もちろん(42勝18敗で終えた)昨シーズンより勝ちたいですし、可能なら44勝、45勝を挙げたいです。そしてBリーグ、EASL(東アジアスーパーリーグ)、天皇杯の内、どれかでタイトルを取れれば、成功と言えるシーズンになると思います」と語る。

アンソニー・マクヘンリー

新加入の多さも意に介さず「ある一定のスタンダードが自然と伴うもの」

琉球といえば地域密着をリーグで最も体現しているチームの1つであり、単なるプロスポーツクラブ以上の存在であることを球団の至上命題としている。主力の約半数が入れ替わる今シーズンは、チームの在り方をしっかりと浸透させていくことも重要だが、指揮官はこの点についてはあまり心配していない。

「新しく加入する選手たちは、みんな沖縄で私たちと対戦した経験があります。だから琉球ゴールデンキングスが沖縄においてどんな意味を持っているのか知っています。このチームに加わることは、ある一定のスタンダードが自然と伴うものです」

その上で、自身の指揮官としてのやるべき責務をこう表現する。「私の役割は、一定のスタンダードを自らに課し、常に自分自身に挑戦していくことがどれほど重要なのかを選手たちに伝えることです。重要なのは相手ではなく、自分たち自身です。シーズン終了までの間で毎日、成長を続けられるかどうかです。ただ、私たちはどんな相手にも100%対抗できるだけのタレントが揃っていると確信しています。だからこそ重要なのは、チームワークを築き、毎試合やるべきことを遂行できるかです。自分たちのスタイルを確実に実行できるチームこそが最も成功を収めることができます」

前任者の功績が偉大すぎるだけに、周囲の期待であり求める結果のハードルはとてつもなく高い。そんな大きなプレッシャーの中でマクヘンリーはどんなチームを作り上げていくのか。これは琉球だけでなく、Bリーグ全体の勢力図にも大きな影響を与える新シーズンの大きな見どころだ。