佐々木隆成

「アキレス腱も左の方が太くて強いので、もし切れるなら次は右かな」

30歳の苦労人、佐々木隆成が男子日本代表に戻ってきた。

B2の熊本ヴォルターズで3シーズンプレーし、2022-23シーズンの三遠ネオフェニックスへの移籍で才能が開花した佐々木は2024年にオーストラリア代表との強化試合で代表デビューを果たした。パリオリンピックでロスター入りはならなかったが、サポートメンバーとしてチームに帯同。その経験を糧に押しも押されもせぬ三遠のエースとなったが、昨年のBリーグチャンピオンシップ中に左アキレス腱断裂の重傷を負った。復帰後にはハムストリングの肉離れにも悩まされ、脂が乗っている時期にケガとの戦いを余儀なくされた。

それでも、再び強化合宿に呼ばれた佐々木は「ここに戻ってこられて本当にうれしい」と素直に喜んだ。「代表は一番トップのカテゴリーです。日本でバスケをやっている身からすると、そこにずっと行きたいという気持ちはありました。1回ケガで離れてテレビで観戦してましたけど、自分もあそこに立ってプレーがしたいと思っていました」

キャリアが変わってしまうような大ケガを負っただけに「ケガをした時はもう代表のことはあまり考えられなかった」という佐々木だが、以前と同じような状態までコンディションは戻した。だからこそ、代表復帰への思いが徐々に高まっていった。

「まずは戻ることも分からなかったので万全の状態に戻すことが最優先でした。よく戻ってくれたなっていう感じです。最初から代表へっていう感じではなく、治ってから考え始めたというか、ケガが完治した後にまた代表に絡みたいという気持ちが強くなっていきました」

ケガによってキャリアが壊れてしまう選手もいるが、佐々木はそれを糧に変えた。今では「アキレス腱も左の方が太くて強いので、もし切れるなら次は右かなっていう感じです」と自虐ネタを言えるほどたくましくなった。そして、ケガがもたらしたのはメンタル的な強さだけではない。試合を外で見ることが増えたことで、以前は分からなかった選手の細かな変化を感じ取れるようになったという。

「『今あいつちょっと拗ねてるな』みたいなことがコートではあまり分からなかったですが、表情だったりボディランゲージもそうですけど、外から見てそういうのを感じ取ることが多かったです。ポイントガードで出た時はプレー中に感じ取って、もうちょっとパスを供給しようとか考えています」

「あとはポゼッションの中で『あいつはボール触らなかったな』とか、そういうのを計算できるようになったと思います。『3ポゼッション連続でボールを触ってないから、1回あいつにボールを回してリズム作ろう』とか、そういうのもこう考えられるようになりました」

佐々木はあらためて自身のコンディションについて「下がったという感覚はないです。完全ではないですけど、よく戻ってきている」と評価した。ケガ以前と同様のパフォーマンスができ、視野が広がったのであれば、ロスター入りの可能性も十分にある。だからこそ佐々木は今回の代表招集に関し「やっぱりとは思わないですけど、意外でもないです」と語った。

そして高い身体能力とシュート力を兼ね備える佐々木はアピールポイントとして次の点を挙げる。「自チームでやっている速い展開に持っていくこと、ペイントタッチからのキックアウトを見てもらえたら」

桶谷大ヘッドコーチはコンセプトとして効率の高いシュートを重視するため、ペインタッチできる選ガードを望んでいる。また、現在6人いるポイントガードから4人を遠征に連れていき、相手に合わせて3人をロスター入りさせると明言した。心身ともに強くなった佐々木は、静かに闘志を燃やしてその時を待つ。