技術的な成長だけでなく精神面での成長に期待

9月にIGアリーナ(愛知県名古屋市)で開催されるアジア競技大会に臨むメンバーの選考を兼ねた、男子日本代表のディベロップメントキャンプが6月8日から実施された。

シェーファー アヴィ幸樹の28歳が最年長で平均年齢は22.9歳と、若手主体のメンバー構成となっている。今回のキャンプはその名の通り育成を目的とし、吉本泰輔アシスタントコーチ主導のもと、『成長』と『競争』の意識付けをさせる合宿が行われた。

「同世代の選手も多く、練習メニューもいろいろとテンポよく切り替わってどんどん成長していこうという合宿で、全員が本当にポジティブな気持ちで臨めていると思います」。今回の合宿の印象を聞かれてそう答えたのは、シェーファーとともに『ワールドカップ2027アジア地区予選』のwindow2に出場した金近廉だ。

現在23歳の金近は同世代の選手より一足先にBリーグの門を叩いた。東海大の2年生の時に『全日本大学バスケットボール選手権大会』で優勝に貢献し、個人として優秀選手賞に輝くと3年生になる2023年4月に大学を中退して千葉ジェッツの練習生としてチームに加入。2023-24シーズンから正式なロスターに加わり、2年目のシーズンには3ポイントシュート成功率38.6%を記録するなど、今は千葉Jに欠かせない存在となっている。

大学を中退してプロの世界に飛び込んだのも高いレベルを求めたからこその決断であったが、本人はこの3年間をこう振り返った。「なかなか上手くいかないところもありましたけど、その中でしっかりと改善して成長し続けてこれたことはプラスでした」

同世代よりも早くトップレベルに触れたことによって、世界と戦う上で必要な成長ポイントは金近の中で明確になっている。「ディフェンスでは韓国のイ ヒョンジュン選手のようなウイングポジションのキーマンにマッチアップすることが求められています。オフェンスとは違ってディフェンスはコンスタントにできることなので、そこのレベルをもう一つ上げることで信頼されて、重要な時間帯でも使っていただけるようになることが必要だと思っています」

そして自分の強みについても続ける。「僕は同じサイズのウイングの選手の中では、3ポイントシュートが入ると思っているので、そこは自信を持って打っていきたいと思います。波に乗ることができれば、どんどん活躍できると自分の中で思っているのでしっかりと出場時間を確保することが必要になってきます。そのためにも、ディフェンスや、スタッツに残らない部分の貢献というのが必要になってくると思うので変わらずに頑張りたいです」

金近はこれまでのBリーグ、代表での経験を元に自身が成長しなくてはいけない部分、そして強みとして出していかなくてはいけない部分を理解し、それを発揮するためには信頼を得ることが重要だと説く。だからこそ今回のディベロップメントキャンプでは誰よりも開催の目的を理解して競争意識を持ち、臨んでいる。目指す先には日本代表で活躍する自分の姿が映っているからだ。

「オリンピックや、ワールドカップに出ることを一つの目標にしています。コンスタントに代表に呼んでいただいてる中でメンバーに選ばれても、前回のウィンドウでは5分ぐらいの出場で終わってしまっています。素晴らしい先輩方がたくさんいますが、自分の中ではメインで出ることを考えているので、激しい競争になると思いますが、自分のポジションを勝ち取れるようにチャレンジしていきたいです。そのために一つひとつの練習でしっかりと成長していきたいと思っています」

今回の合宿は同世代が多く練習前後は穏やかな雰囲気も出ていた。「アンダーカテゴリーの代表としてともに戦ったメンバーや大学の先輩もいるので、変に緊張することなくいつも通りの雰囲気です(笑)」と語る一方で、これまでコンスタントに代表活動に呼んでもらっている立場として牽引するポジションであることも理解している。「僕自身、大学2年生の時に初めてA代表に入って、すごく緊張したことでやりづらさを感じたこともあったので、コミュニケーションが取れていない選手がいたら僕のほうから積極的に話しかけていきたいと思っています。今回は同年代と一緒ですが、引っ張っていく気持ちを持つことが今までよりもできていると思います」

技術が一流でも精神面が不安定であれば大きな活躍をすることはできない。特に日本代表ともなれば一緒に過ごす時間は限られるため、明確な意思疎通ができ、時には年齢を超えたリーダーシップも必要になってくる。金近はこのディベロップメントキャンプで技術の向上とともに精神面での成長を見せている。日本代表のメインプレーヤーとなるためのステップを着実に登る金近のさらなる成長に期待したい。